6月から始まる定額減税 経理・給与担当者は困惑 税金のプロに「どういう制度かわからない」と相談増

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6月から始まる「定額減税」。年間で、1人につき所得税を3万円、住民税を1万円減額します。

会社員などの場合は、所得税は6月から減税が始まり、所定の金額に達するまで、7月以降も減税が続きます。 住民税については、減額された金額を均等に割り、7月から11カ月間、天引きされます。6月分の住民税は「ゼロ円」です。そのワケはー 「ボーナス月である6月であれば、賃上げと定額減税、双方の効果を給与明細において目に見える形で実感できる」(去年11月:岸田総理) 去年、防衛増税などをめぐって「増税メガネ」と揶揄された、岸田総理。国民に減税の「恩恵」を実感させたいとこだわったのが、給与明細への表記です。 住民税については6月分が「0円」と記される明細に、所得税についても、減税された金額を明記するよう、義務付けたのです。

説明会には市外の方も参加、追い込まれる給与担当者

辻元清美参院議員「給与明細への明記は義務ですか?」 岸田総理「給与明細での義務的記載事項として定めております」 収入や家族構成によって、総額や期間も変わる、複雑な定額減税。 「対象者の働き方がいろんなパターンがあるから、そこで自分が間違えるといけないなと思って」(介護保険業 給与担当者) 28日、名古屋市内の税務署で開催された説明会には、当初の予定を大幅に超える参加者が。 「ちょっと危機感もあって、名古屋ではないんですけど、調べたら『ここがラストチャンスかな』と思って、遠くから来ました」(介護保険業 給与担当者) 「すぐに6月の支払いが迫っているので、支払いをするにはその前に日数をかけて準備を整えていくので、結構ギリギリで大変」(物流業 人事担当者) シ 「正直なところすごい煩雑さは感じています。今年限りの制度だということで、システム改修が必要になるとか、別でお金が発生してきてしまうので、そこをかなり大変だなと感じている。すごい大変で追い込まれている」(病院 人事担当者)

慣れない作業にさまざまな業種から困惑の声

降ってわいた慣れない作業に、さまざまな業種で働く人から悲鳴があがる「定額減税」。手続きに強いはずの自治体職員からも、煩雑さに困惑の声が出ています。 東海地方の自治体で、職員の給与計算に携わる担当者からは… 「例年ですとこの時期にこの作業は当然ありませんですので、その分が増えたことによって、チェックの作業であったりとか、確認作業・入力作業を当然やっているので、職員も努力というか苦労したところはあるとは思います」(東海地方の自治体 給与担当者)

減税でなくて給付のほうがよかったのでは…?税金のプロへの相談増

先週の国会では… 辻元清美参院議員: 「『こうした何の価値も生み出さない事務負担が、日本の民間の競争力を損なっていることに気づいていないのだろうか』とかね、『手間を増やされた恨みの方が深く刻み込まれるだろう』こんな声あふれてますよ」 岸田総理: 「負担が生じることは承知しているが、明記することが政策効果を国民のみなさんに周知徹底する、周知して知っていただく、こういったことにおいて効果的であると」 税金のプロ。名古屋の税理士法人にも、多くの相談が寄せられているといいます。 「そもそもどういう制度かわからない、全然わからないので教えてほしいっていう方が一番多いと聞いてますし、あとは個別の具体的にどういう手続きをすればいいですとか、年の途中で、入社したり退社した場合に、どんな手続きをすればいいか、みたいな相談が多いですね」(名古屋総合税理士法人代表税理士 細江貴之さん) 経済対策としては「減税」よりも「給付」のほうが良かったのでは、という指摘も。 「今回の制度については、本来は給付すべきものだと思っている。給付の方が直接的ですし、コロナ対策の10万円特別定額給付金でもうまくいったわけですから、税金を納める側のサラリーマンや、個人事業主、フリーランスも相当負担ですし、国内全体で見ると、ものすごく負担になると思いますので、これはちょっと政策としてはね給付でできなかったのかと個人的に思います」(細江貴之さん)

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