内閣府の孤独・孤立対策メタバースがショボい 古市憲寿氏あ然「本当に何もできない」

孤独・孤立対策強化月間の2024年5月1日~31日、内閣府はメタバース(仮想空間)「ぷらっとば~す」を開設している。孤独・孤立の問題を抱える当事者やその周囲の人など、誰もが気軽に立ち寄れる空間を目指している。

しかし、孤独・孤立対策の一環のはずが、利用者同士のコミュニケーションが禁止されているのだ。開設時間も基本的には10時~18時、5月2日~6日は10時~22時と限定的だった。SNSでは物議をかもしている。

コミュニケーションを一律禁止した理由

「ぷらっとば~す」内では、「相談エリア」にいる相談員に悩みを相談できるとしていた。だが5月2日~6日の16時~22時までで、既に終了している。5月中は計4回セミナーを実施。ほか、NPOなどの孤独・孤立対策の取り組み紹介や、政府の対策に関する動画やウェブサイトの情報を提供する。

社会学者の古市憲寿氏は5月26日、「ぷらっとば~す」に対する批判をXに投稿した。先述した点に触れ、何もできないサービスだと指摘。「こんな孤独なメタバースって世界中探してもないんじゃないでしょうか」。古市氏と同様の批判がSNSでも相次いだ。

内閣府の孤独・孤立対策推進室に取材した。コミュニケーションを一律禁止したのは、思慮のない発言をしたり、何らかの勧誘や詐欺行為をはたらいたりする人など、本来の目的以外で利用されるリスクを防ぎきれないからだと担当者は話す。一方、誰でも利用できるようにしたのは、多くの人に孤独・孤立対策を周知したかったからだ。

リスクがあるにも関わらず、メタバースを開設した理由はこう説明する。

「同じように悩んだり考えたりする人がいることを感じ取れるようにしたかった。また、自分でアバターを操作して主体的に情報を見に行くことで、より身近に情報を感じるような効果もあるのではないかと考えました」

本当は24時間オープンにしたかったとも

10時~18時しか利用できないのは、担当者としても「忸怩(じくじ)たる思い」があった。参加者の安全を守るためには、システム面だけでの対応では不十分だという結論になり、メタバースを警備するスタッフを配置する必要があった。予算や人員配置などの運営上の制約があったため、開設時間を制限したという。本当は24時間オープンにしたかったとも。

SNSでは、批判の声が上がっている。メタバースの取り組みを開始する以前にもさまざまな検討をしたというが、「全ての方のご期待に応えるのは難しいなと非常に感じております」。一方で、多くの人の力を借りて解決に取り組んでいきたいとした。

今後、「ぷらっとば~す」を再度実施するのかは未定とのことだ。

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