『ブルーモーメント』灯の死の真相を知る関係者が明らかに SDMが考案されたきっかけ

5年前の水害の夜、なぜ灯(本田翼)は公民館を離れて1人で危険な場所へと向かっていったのか。その謎について晴原(山下智久)が模索する姿が5月29日放送の『ブルーモーメント』(フジテレビ系)第6話でも引き続き描かれている。しかしその真相を知っていそうな人物が、思いのほか晴原の近くにいたことがわかる。SDMのメンバーであり、対策本部車のドライバー兼料理人を務める丸山(仁村紗和)。前回、沢渡(橋本じゅん)の「選べないものを選ぼうとしてはいけない」という言葉に真っ先に反応した彼女が、新たに物語のカギを握る存在となる。

灯の死について何か重要な手掛かりを握っていそうな丸山だが、晴原の問いかけには頑なに答えようとせず、「SDMにはもういられない」と言ってその場から立ち去ってしまう。一方、SDMは数日前に静岡で発生した震度6強の地震によって道路が分断されて取り残された集落に救援物資を届けるため、防災ドローンの実用化に踏み切ることに。順調に物資を運び込むことができた矢先、同時に行っていたオンライン診療で孤立集落に要救助者がいることが判明するのだ。

集落へと向かう道路がひとつしかなく、土砂崩れや道路の崩落によって寸断され孤立状態に陥りスムーズな救援がままならなくなる。これはつい数カ月前の能登半島地震で実際に起きている極めてタイムリーな事象であり、その土地に根ざして生活している人々がいる以上、即座に解決することが難しい問題のひとつでもあろう。実際にその能登半島地震でも、また4月の台湾東部沖地震においても、今回描かれたような救援物資を届けるためのドローンが活用された事例があるという。

地震それ自体の予測は難しいからこそ、二次災害を防ぐことが必要となる。そのためにドローンによる物資の運搬やオンライン診療などのあらゆるシステムを取り入れていくことで命を救う。今回のエピソードでは、この非常に重要なテーマを扱いながらも、それらは比較的淡々とした流れで描かれている。ドラマの最初の頃のエピソードに見られたような劇的なダイナミズムを与えることもなく、灯と晴原の学生時代の回想であったり、上野(平岩紙)とその息子の関係といった要素を加えながら一つのエピソードを構成していく。それはきっと、これらの要素がすべて、風を読んで地形を読む気象学によって人と人を繋ぎ、そして人を救う。そうした“命の連鎖”という本作のテーマの下に共通しているからに他ならないだろう。

ところで、エピソード序盤で描かれた丸山と5年前の水害についての関連は、今回はまだ深掘りされない。しかし、丸山におそらく口止めをしていたのであろう、もう1人の関係者の存在が最後の最後で明らかになった。これもまた、晴原の近くにいた上野である。彼女には今回登場した8歳の息子がおり、彼の誕生が灯にSDMを考案するきっかけを与えたとも語られている。そして彼は5年前に3歳。丸山はSDMに入る前、水害のあったエリアの保育園で働いていたということが明らかになったとなれば、上野は原作コミックにおける白波光のポジションということになるはずだ。
(文=久保田和馬)

© 株式会社blueprint