米経済活動、拡大続くが一部にばらつき 見通しやや悲観的=地区連銀報告

[29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は29日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は4月初旬から5月中旬にかけて拡大を続けたとの認識を示した。ただ、業界や地域によって状況はまちまちになっているとした。

不確実性の高まりと下振れリスクの増大を背景に、全体的な見通しはやや悲観的なものとなった。

物価は「控えめなペースで上昇した」とした。

報告をまとめたダラス地区連銀によると、消費者需要の弱まりは多くの企業にとって引き続き懸念であり、中東での紛争の継続や世界的な地政学的緊張の高まりも下振れリスクとして挙げられた。

大半の地区で経済活動にわずか、または控えめな伸びが見られたと報告したが、2つの地区では変化がなかったとした。特に小売の支出は横ばいか微増で、消費者が支出を控えていることを示す最近の指標と合致した。

大半の地区で消費者が追加値上げに反発していると指摘された。ある大手衣料品小売業者はボストン地区連銀に「売り上げを伸ばすため秋口に一部の商品で小幅に値下げする予定」と話した。

一方、インフレ圧力が再び加速する兆しもあり、「多くの地区で原価の継続的な上昇が見られた」と報告された。5月に製造業ではさまざまな原材料価格が上昇したことが別の調査でも示され、今後数カ月でモノのインフレが再加速する可能性があることを示唆した。

労働市場に関しては大半の地区で労働力が確保しやすくなり、従業員の離職率も低下した。ミネアポリス地区連銀によると、ミネソタ州中部のワイナリーは「今年はパートタイムや季節労働者の応募が多く、非常に心強い」と報告した。

賃金の伸びは概ね引き続き緩やかなペースだったが、複数の地区連銀は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の平均水準になったか、それに向けて正常化しつつあると述べた。

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