昭和の飲みニケーション世代×20代との付き合い方は 「“さざ波”コミュニケーション」で

Z世代とのコミュニケーションに悩む上司は…

電通、ミクシィを経て、ディグラム・ラボを2013年設立した木原誠太郎氏は、心理学と統計学を組み合わせた独自の性格診断「ディグラム診断」を開発し、それぞれの性格に合ったコミュニケーション術を指南している。それをまとめた近著『「人間関係」は性格と相性が9割』(プレジデント社)が話題だ。今回、木原氏が、昭和オヤジ世代と若手社員との“距離の詰め方”を紹介します。

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飲みニケーションで育った僕のような昭和オヤジ世代としては、若手社員とランチや飲み会を通じてコミュニケーションを深めたいと考える人も多いはず。

事実、社内の上下関係ではない自然発生的なインフォーマル・グループが生産性に大きく影響を与えることは、100年も前にアメリカの工場で行なわれたホーソン実験で明らかにされています。

しかし、いくら社内のZ世代の若者と仲良くなりたいと思っても、「週末にフットサルやろうぜ」「これから飲みに行くぞ!」といった誘いは絶対にNG。これは一番やってはいけないことです。そして誘ったとしても、基本、断られると思ってください。

私が開発した心理学と性格診断を組み合わせて人間の性格を分析するティグラム診断では、彼らは「ラインⅡ型」と言われる型に分類され、人との争い事を好まず、波風を立てたくないタイプが多いのです。そのため、自分と合わない人とは最初から付き合わないという判断を下すため、昭和オヤジ世代は最初からシャットアウトされてしまいます。

Z世代とコミュニケーションを取りたいなら「誘うな!」

では、そんなZ世代と、どうやってコミュニケーションを取ればよいのでしょうか?

極論を言えば「誘いたければ、誘うな!」です。じつは、Z世代は自分がリスペクトする相手に対しては年齢を問わず応援をしたい推し活世代でもあります。もし仕事でも趣味でも、Z世代から見てあなたが魅力がある人ならば、さざ波のように向こうから近寄ってきます。

このとき大切なのは、「お前、じゃあ、これ知ってるか?」「若い世代は知らないと思うけどね……」などと、知ったかぶりをしないこと。いきなりこっちがに超絶マウンティング気質が入ってしまうと、相手はさざ波のようにササササーと引いていってしまいます。

逆に、相手が近づいてきたときこそ相手を知るチャンス。例えばZ世代がたとえお世辞が入っているとしても「その腕時計、かっこいいですね」と褒めてくれたとしたら、そこから自分の自慢話にスイッチを入れるのではなく、「若い子の間では、どんな腕時計が人気なの?」と話題を振ること。自分の話に引き寄せるのではなく、あくまでも相手に寄り添っていく、ここがポイントです。

そして、腕時計だけで会話のビッグウェーブをつかもうとせず、相手が「○○とか、○○が人気ですかね」と答えたら「へぇ、なるほどね」程度で終わらせて、あまり深入りせず、会話の引き際を見極めることも大切です。

会社の飲み会や上司とのランチがなぜ若手社員に嫌われるかといえば、プライベートの時間をわざわざ削って上司の自慢話や愚痴話に付き合わされ、しかも場合によっては自腹というのが大きな理由です。

付かず離れずのさざ波コミュニケーションができる人畜無害な関係を築くことが、若手社員にランチや飲み会の誘いを断られないための第一歩なのです。

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