魚形のしょうゆ入れが『イヤリング』に!? 発案者のこだわり「ホンモノを使わなければ」

「ランチャームイヤリング」(提供:株式会社ヘソプロダクション)

お弁当箱に入っている、魚の形をした“アレ”。日本人であれば誰しも馴染みのあるアイテムが、意外な商品になっているのをご存知でしょうか? なんと、魚の形をした“しょうゆ入れ”、「ランチャーム」がイヤリングとなって発売開始。現在、SNSを中心に話題沸騰中なのだとか。

手がけるのは、これまでにも数々の企業とコラボレーションしてユニークな商品を世に送り出してきた、株式会社ヘソプロダクション。同社の代表を務める稲本ミノルさんに、開発のきっかけや反響について詳しく聞きました。

――開発のきっかけは?

【稲本さん】 実はもともと、ランチャームを使ってハンドクリームを作ろうと思っていたんです。というのも、旅行などで少量のハンドクリームを持ち運ぶ用にランチャームを使っている人がいると聞きまして、「それであればいっそのこと商品として作ってやろう」と考えたのがはじまりでした。

ランチャームの生みの親である株式会社旭創業さんに事情を伝えてオファーしたところ、ふたつ返事でOKをいただき、2023年にプロジェクトがスタートしました。

――なぜイヤリングに?

【稲本さん】 さまざまなサンプルをいただきながら試作しているなかで、「もっといろいろな商品に応用できるな」と思うようになりました。そんなときに“最近は海外からの観光客を中心にお寿司の形をしたイヤリングなどが人気”ということを知り、「ということは、ランチャームのイヤリングもおもしろいのでは」と、旭創業さんに提案しました。

――最もこだわったポイントは?

【稲本さん】 なんといっても、“ホンモノ”のランチャームを使っている点です。ただ、これを実現するのも簡単ではありませんでした。当初の私の理想は、実物のランチャームをそのままイヤリングにすること。ただ、食品を扱う業界において半世紀以上も活躍されてきた旭総業さんは、安全性という面を非常に重要視されていました。

たとえば、“ホンモノ”を商品に使うことで、イヤリングを購入した人が本来容器には適さない液体を入れて、万が一のことが起こってしまうなどの誤用の危険性があります。そのため、最初は「ランチャームを模した別物でいいのでは」という意見も多くありました。

ただ、ランチャームの本家である旭創業さんと一緒に作る以上、実物を使わなければ意味がない。この点だけは、絶対にゆずるつもりはありませんでした。形だけ似せたものであればだれでも作れますし、なにより、お客さまが手に取ってくださった際に感じるインパクトが大きく異なります。

この思いを伝えて協議を重ねた結果、「ふたが開かないように加工をする」ことで実物を使用できることになりました。欲を言えば、中身も本物のしょうゆにしたかったのですが、それはさすがに止められまして。中身だけは、しょうゆに似せた黒い液体となっています(笑)。

――まもなく発売から1か月が経ちますが、反響は?

【稲本さん】 これまでにもさまざまなコラボ商品を発売し、その都度話題にしていただいていましたが、今回もすでに反響が多く手ごたえを感じています。やはり、日本人の誰しもが見覚えのある商品ということで、SNSなどの反応も良いです。ちなみに、旭創業さんで行った社内販売では驚くほどに売れたと聞いています(笑)。

――最後に、ハンドクリームはどうなりましたか?

【稲本さん】 実は、ハンドクリームも絶賛開発中です。どんなサイズ・中身が使いやすいかなど、いろいろと試しています。今年中にはなんとか発売したいと考えているので、こちらも楽しみにしていただければと思います。

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お弁当に入っているしょうゆ差しのイヤリングという、まさかの商品の裏側には“関西の仕掛け人”の熱いこだわりがありました。

ちなみに、「ランチャーム」という名前には、「ランチをチャーミングに」という意味が込められているのだそう。稲本さんは、「こうした“見たことはあるけどよく知らない商品”を知るきっかけになることも、商品を作る意味」と語りました。

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