清水国明氏、被災地支援に見せた「見識」 トレーラーハウス活用論がSNSで大反響呼ぶ《都知事選出馬へ》

フォークデュオ「あのねのね」のメンバーでタレントの清水国明さん(73)が、東京都知事選挙(2024年6月20日告示、7月7日投開票)に出馬する。5月28日に複数メディアが報じ、30日に会見を行う。

清水さんはタレント活動を行う一方で、災害被災地での支援活動を行ってきた。28日にも自身のXアカウント(@S_kuni_official)で「令和6年能登半島地震。発災を知りすぐに車を走らせました。支援活動はもちろん、歌も披露させて頂きました。これまで6度伺ってますが、これからもできることをしたいと思います」と活動実績を投稿している。

「仮設住宅ではダメ」なわけ

清水さんは、災害被災者の仮住まいについて持論があり、ブログなどで訴えている。以下、J-CASTニュースの2016年4月19日配信の記事をから引用する(年齢や肩書などの情報は、注記のない限り当時のものです。以下同じ)。

「清水国明と東京都の安全な未来をつくる会」公式ウェブサイトのスクリーンショット

タレントの清水国明さん(65)が、被災者の仮住まいとして、トレーラーハウスを活用すべきとブログなどで訴えている。清水さんが言う、「仮設住宅ではダメ」なわけとは――。

2016年4月17日放送のNHK日曜討論では、熊本地震への対応についても議論になった。

清水さんは、山梨県内で自然体験施設を運営しながら、被災地への支援活動も続けている。番組では、今回の地震を受けて、備蓄しているトレーラーハウス10台を被災地に届ける活動をしていると明かした。

仮設住宅をこれから作るとすれば1~2年もかかるとして、清水さんは、アメリカなどで災害時に活用しているトレーラーハウスやキャンピングカーが有用だと訴えた。日本では、震災があるたびに被災者が避難所に長い間閉じ込められる同じ光景が繰り返されているとして、「何も備えてこなかったんじゃないか?」と現状を強く批判した。

清水さんは、ブログなどでも自らの考えを説明している。

それによると、東日本大震災の被災地に何度も通って被災者に聞いた結果、本当に必要なのは、「金」と「家」だということを痛感したという。しかし、仮設住宅は、時間とお金がかかるなど無駄が多すぎることに気づいた。アメリカのようにトレーラーハウスを全国に備蓄して、通常はレジャー用などに使い、震災時にそれを仮住まいにすることを清水さんは唱えている。

国交省でも震災後、車体の長いトレーラーハウスに対し、車検上の基準緩和を行い、特殊車両の通行許可を取れば、国道などを走れるようになった。しかし、トレーラーハウスを使う動きは、日本ではあまり進んでいない。

その理由としては、明確な根拠はないが、仮設住宅の設置によって建設業者らが潤う「災害特需」があるのではないか、とみる向きもある。

清水国明さんは、仮設住宅について、こう指摘する。

「隣の音も聞こえるほど粗悪な住宅が多く、被災者がかわいそうですよ。壊すのにも数百万円かかり、金や時間の無駄だと思います」

トレーラーハウスは車内が狭いなどのデメリットがあるのではとの声もネット上であるが、清水さんは否定する。

「冷暖房完備で、10センチの断熱材を使っています。窓が2重ガラスで、床暖房もあるんですよ。居住性もよく、仮住まいとしては、まったく問題ないと思っています」

清水さんは、備蓄している10台とも国産車を使っており、自動車メーカーなどと協議して、日本の新しい産業にしようと働きかけているとした。

熊本の被災地にトレーラーハウスを送ることは、国からも要請を受けているという。東北地方からも25台が送られる予定で、現在は集会場や売店、宿などに使われているが、熊本で使ってほしいと要望があったそうだ。

清水さんが答えたトレーラーハウスのメリットとは?

上記の記事はフェイスブックなど、SNSを通じて大きな反響を呼んだ。清水さんはその後、J-CASTニュースの取材に、その考えを詳しく語っている。以下、J-CASTニュースの2016年4月29日配信の記事から引用する。

トレーラーハウス(画像はイメージ)

直接取材に応じた清水さんは、仮設住宅が「隣の音も聞こえるほど粗悪な住宅が多く、金や時間の無駄」なこと、対してトレーラーハウスは「冷暖房完備なうえ、窓が2重ガラスで、床暖房もある」ことを語った。取り壊さないといけない仮設住宅に比べ、全国に備蓄して普段はレジャー用などに使えるメリットも挙げている。

その内容が新鮮に映ったようで、ネット上では、「確かに良い案だ」「次の震災で使える」と賛同の声が多数書き込まれた。

宮城県内でトレーラーハウスに泊まったことがあるというトラベルデザイナーのおそどまさこさんは、「清水さんの意見に賛成です。トレーラーハウスは、移動できるし、建てる時間がいりません」とツイートした。また、キャンピングカーで在住先の米国内を旅行していたというロバーツ原口ともこさんも、「ホントに居住性もいいです。プライバシーを確保できない、作っては壊す仮設住宅より何十倍もいい」とフェイスブックで明かしていた。

一方、疑問の声もそれ以上に多く、「安いイメージが全然ないけどねぇ...」「メンテ代は年間いくらかかるんだ」「平時に誰がどう管理・活用するかだよ」といったコメントが多数の支持を集めていた。

こうした声について、清水国明さんは、4月26日、あらためて取材に応じてこう説明してくれた。

「トレーラーハウスは、平均で750万円ぐらいします。ピンキリで安いものもありますが、お風呂やトイレなどライフラインがしっかりした造りでないといけないからです。確かに、仮設住宅は、300~400万円で作ることができ、壊すときも同じぐらいの値段です。しかし、設備が粗悪で、やはりお金の無駄遣いだと思います。これに対し、トレーラーハウスは、すぐに提供ができ、災害復旧が進めば引き揚げられます。値段は、同等かもしれませんが、メリットは大きいと考えています」

メンテナンス面でも、トレーラーハウスは牽引するので車検はいらず、光熱費や水道代なども普通の家と変わらないと清水国明さんは言う。

平時に備蓄している間も、防災の体験施設にしたり、スポーツ合宿の宿舎にしたりと様々な使い道があるとしている。

フェイスブックで記事が多数シェアされたことについて、清水さんは驚きながらも、こう明かす。

「ちゃんと分かっている人がいるということではないですか。アメリカでは、何万台、何十万台も備蓄して、貨物列車に載せて被災地に送っています。日本は、備えをしていない唯一の先進国と気づき始めたのだと思います。疑問の声も多いということですが、議員や政府も理解し始めており、実際に水面下で導入が進んでいますので、いずれ分かってくれるのではないでしょうか」

清水さんは、山梨県河口湖町で日本初の災害時出動型という「RVパーク」の運営に関わっており、熊本地震では、ここに備蓄してあるトレーラーハウス10台を順次被災地に運ぶ計画を立てている。

清水さんによると、熊本県や県内各市町村と協議をして、2016年4月20日にうち1台を移送し、長野県内にもあるRVパークからも2台が被災地入りした。被害が甚大な益城町で1台が災害対策本部の一部として使うことが検討されているといい、残り2台は障害者支援施設の要望で熊本市内に置かれた。避難所に入れない障害者が使う予定という。実現すれば、トレーラーハウスが今回の地震で仮住まいになる初のケースだ。

今後も、山梨のパークにある残り9台のほか、東北地方からも28台が、ゴールデンウィークの終わりごろから順次運び込まれる見込みだという。

今回の試みについて、清水さんは、こう話す。

「国や各自治体にトレーラーハウスの存在に気づいてもらうためのデモンストレーションです。激甚災害の指定で見込まれる予算で、例えば1000台とかを手配してくれればと思っています。おかげさまで、全国から私どもへの支援金も集まりつつあります。赤十字などの『義援金』は、時間が経たないと被災者には届かず、それだけでは被災地には役立ちません。『支援金』ならすぐに活動に使えますので、もっとトレーラーハウスを被災地に運べるようにしたいですね」

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