「幻の滝」全貌見えた 富山県上市町東種地区、昨夏の豪雨で茂み崩落か

茂みがなくなり、目視できるようになった「坂の滝」

地元の廣田さん発見、落差60メートル

 富山県上市町東種地区の廣田弘義さん(82)が、同地区の山中で長年茂みに覆われていた幻の滝の全貌が目視できるようになっているのを見つけた。昨夏の豪雨で滝の両側の茂み部分が崩落したことで姿を現したとみられる。廣田さんや情報提供を受けた町関係者が現地を確認した。

 廣田さんによると、滝は地元で「坂の滝」と呼ばれている。付近ではかつて滝の上部から引いた水で稲作が行われていたため、滝の存在は知られていたが、全体像を見ることはできなかったという。

 昨年は豪雨災害に見舞われ、近くを訪れることはなかったものの、今年4月に立ち寄ると、茂みがなくなり、滝の全体像を見渡せるようになっていた。今月22日には町関係者らと現地で状況を確認した。滝は7段で、標高は下部が約455メートル、上部が515メートル。落差は少なくとも約60メートルだった。

 滝は、白萩南部公民館(旧白萩南部小学校)から上市川第二ダムを経てさらに数キロ先の林道脇にあり、道路からも見ることができる。ただ、現在は豪雨で林道が被災した影響で車両通行止めが続く。町によると、同ダム付近から歩いて向かうことはできるという。

 7月7日には富山ランニングクラブ主催のトレイルランニング大会「第1回つるぎ山麓トレイルdu上市」が同町の丸山総合運動公園を発着点に行われる。予定されているロングコース(44.5キロ)は滝の近くを通過するため、大会中は絶景ポイントを示す看板が現地に設置される。

 廣田さんは「気軽に行けないのは残念」としつつ「道が直って新たな観光スポットになればうれしい」と語る。町観光協会は、周辺のトレッキングコースに滝を加えることも検討している。

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