「レタスは食物繊維が多い」は誤解? 種類によって異なる栄養価 損をしない食べ方を聞いた

サラダの代表的存在、レタス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

キャベツやブロッコリーなどの価格高騰が気になるなか、比較的まだ安定しているのがレタス。通年でスーパーマーケットに並ぶ野菜のひとつですが、レタスといってもサラダ菜やサニーレタス、コスレタス(ロメインレタス)などさまざまな種類があります。いったい、何が違うのでしょうか。それぞれのレタスの特徴を知って、栄養を効率良く摂りたいですよね。意外に知らないレタスの豆知識を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

◇ ◇ ◇

レタスは95%が水分の低エネルギー食品

レタスは95%が水分で低エネルギーですが、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養成分を含んでいます。よく「レタス○個分の食物繊維」と使われることが多いので誤解されやすいのですが、食物繊維は決して多くありません。ただし、レタスの食物繊維の多くは不溶性食物繊維なので、便通を促すことが期待できます。

レタスといっても、実は種類によって栄養成分量や食感が変わってきます。玉レタス、サラダ菜、サニーレタス、リーフレタス、コスレタス、サンチュについて、それぞれの特徴や栄養メリットについて紹介しましょう。

一般的なレタスといえば玉レタス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

玉レタスは加熱でかさを減らすと食べやすい

玉レタスは、みずみずしくて味に癖がなく、食感もパリッとしていることから「クリスプヘッドレタス」とも呼ばれます。サンドイッチの具やサラダ、チャーハンや炒め物の具にしても良いでしょう。包丁で切ると、切り口が茶色に変色して苦みも出やすいので、手でちぎったほうがおいしく食べられます。

一番なじみがあるレタスですが、ほかのレタスと比べると栄養価は低め。しかし、茎を切ると出てくる白い液体のラクチュコピクリンという苦味成分は、催眠・鎮静作用があり、イライラやリラックス効果に期待されています。

生で食べるサラダのイメージが強いですが、炒め物やスープなどの加熱料理も良いでしょう。加熱することでかさが減り、たくさん食べることができます。水溶性の栄養素の損失を防ぐには、電子レンジで加熱するか、汁ごと食べるスープの具材がおすすめです。

なめらかな食感が特徴のサラダ菜(写真はイメージ)【写真:写真AC】

サラダ菜は若返りのビタミンEや貧血予防の鉄を含む

サラダ菜は、玉レタスと同じ結球レタスの一種ですが、結球しているのは芯の部分だけで、葉はふんわりと巻かれています。なめらかな食感と光沢があることから「バターヘッドレタス」の別名も。鮮やかな緑色の葉は、甘みがあります。サラダはもちろん、手巻き寿司の具材としても、緑が映えて彩り良く仕上がるでしょう。

βカロテンが多く緑黄色野菜に分類されるため、油との相性が良いです。生食のほか、加熱料理にも。若返りのビタミンといわれるビタミンE、血液のヘモグロビンの材料となる鉄を多く有します。

赤紫色が特徴のサニーレタス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

サニーレタスは加熱せずにオイルタイプのドレッシングと摂取

サニーレタスは葉レタスの一種で、赤紫色がかった葉先が特徴です。葉は薄くてやわらかく、カールしています。

玉レタスと比べると、βカロテンやビタミンC、葉酸、食物繊維、カリウム、カルシウムなどの栄養素が多く含まれています。また、目の健康に役立つアントシアニンなどのポリフェノールも有するので、加熱せずに生のまま、オイルタイプのドレッシングと一緒に摂取すると良いでしょう。

やわらかく食べやすいリーフレタス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

リーフレタスはβカロテン、ビタミンCとE、カリウムが豊富

リーフレタスは葉レタスの代表で、葉が開いて生長するレタスです。緑色が濃く、葉先が広がっていてボリュームがあります。葉の部分はやわらかく食べやすいので、サラダはもちろん、レタスで包む料理にも便利です。

皮膚や粘膜を丈夫にし、免疫機能を高めるカロテンが豊富。玉レタスと比較すると約9.5倍、サニーレタスと比較すると約1.1倍含まれています。油と一緒に食べることで効率良く摂取できるので、サラダドレッシングはオイルタイプのものを。ほかのレタスのよりもカリウム、ビタミンC、Eが多く栄養価が高いです。

シャキシャキとした食感のコスレタス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

コスレタスは食感がしっかりしているので加熱料理も美味

コスレタスは、別名ロメインレタス。葉は巻かず、立った状態で成長する立ちレタスです。濃い緑色の葉はボリュームがあり、軸は肉厚でやや苦味があるのが特徴。シャキシャキと食感が良く、シーザーサラダなどで使われています。

ほかのレタスに比べると全体的に栄養価は低い傾向にありますが、造血のビタミンと呼ばれる葉酸が最も多く含まれています。βカロテンも含まれているため、吸収率をアップさせるために油と一緒に食べるのがおすすめです。食感があるので、炒め物やスープ、クリーム煮などにしても良いでしょう。

βカロテンが豊富でビタミンKを含むサンチュ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

サンチュにはカルシウム摂取をサポートするビタミンKも

サンチュの和名は「包菜(つつみな)」や「かきちしゃ」。レタスの中でβカロテンを最も多く含み、玉レタスの約16倍。また、カルシウムの働きをサポートするビタミンKも多く含みます。

焼き肉を包んで食べることが一般的ですが、ちぎったサンチュを皿に盛り、アーモンド小魚などカルシウムを多く含む食材をトッピングして、好みのドレッシングをかけて食べても良いでしょう。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

© 株式会社Creative2