『水ダウ』で話題の“ハニトラ女優” 芸人とキスの体当たり…あざとすぎる演技の裏側

『水ダウ』出演で注目を集めた三輪晴香【写真:舛元清香】

お見送り芸人しんいちを翻弄「ずっと応援していたのは本当です(笑)」

『水曜日のダウンタウン』(TBS系、水曜午後10時)といえば、視聴者の想像を超えるドッキリの数々でたびたびネット上を騒がせる人気番組だ。同番組への出演を機にブレイクする芸人やタレントも少なくない。28歳の俳優・三輪晴香もその一人だ。同番組への出演をきっかけにXフォロワー数は6倍に急増。今まさにチャンスをつかもうとしている。(取材・文=中村彰洋)

三輪は、5月1日に放送された「ハニートラップ、ネタばらし後に『今度はホントに…』と誘えば連続で食らわせることも可能説」に仕掛け人として出演。あざとさ全開の演技でターゲットのお見送り芸人しんいちをいともたやすく手玉に取った。放送後には、その姿がSNS上で大きな話題となり、ネットニュースで取り上げられるなど注目度が急上昇した。

「反響の大きさには本当にびっくりしました。私が1番驚いています。オンエア後にスマホの通知が鳴り止まなくて『私なんか悪いことしたかな?』って(笑)。フォロワーさんが増えたのもありますが、『面白かったよ』『これから応援させていただきます』などたくさんのコメントをいただけて、背中を押されました。私は仕掛け人として全力で徹していただけなので、ここまでの反響をいただけるとは思ってもいなかったです」

出演が決まってからは、しんいちに本気で好きになってもらうために、まずは自分がしんいちを好きになる準備から始めたという。

「ドッキリや仕掛け人はもちろん、バラエティーも初めてだったので、出演が決まった時は頭が真っ白でした。“ハニートラップ”といっても、しんいちさんに本当に好きになってもらわなきゃいけないので、まずは私が好きになることから始めました。

R-1に出られていた頃からずっと応援はしていたんです。これは本当ですよ(笑)。出演が決まってからは、YouTubeなどで下調べもたくさんしました。“嫌われキャラ”のイメージはありますが、ちらっと見えるかわいらしさや優しさが魅力だなと思います。私の中では、映画などと同じで1つの作品に携わるための役作りという気持ちでした」

あまりにも自然な“あざとすぎる”演技だった。ドッキリでありながらもキスまで受け入れるという体当たりな姿勢にも視聴者は驚かされた。

「失敗する可能性ももちろんありました。誘導の仕方などもたくさんのパターンを考えていました。だけど、想像以上にしんいちさんが食いついてくださって、私の思い通りに動いてくれたので助かりました(笑)。

普段のお芝居とは違い、ドッキリでは、しんいちさんの気持ちが高まってキスという流れになるので、そこまでしんいちさんの気持ちをなんとしても持っていかなきゃいけないというプレッシャーはありました。キスしてくれるのかなとドキドキでした。でないと電流が流れないので……。なので、『ドッキリ大成功』とボードを出せたときは今までにない達成感がありました(笑)」

『水ダウ』出演を機にフォロワーが急増した三輪晴香【写真:舛元清香】

TikTokでは2年以上も“あざと動画”を投稿「私にしかできない芝居を」

三輪は、幼少期の頃から表現活動に興味を持ち、中学生で演技レッスンに通い始め、高校1年生で初めての舞台に立った。それ以来、俳優の道をブレることなく歩み続けてきた。実に芸歴は10年超。今回のドッキリは、これまでに培ってきた演技力がいかんなく発揮された形だ。

コロナ禍で舞台活動などが途絶えた中で見出したのがTikTokでの発信だった。友人からの「そのままの晴香を出せばいい」というアドバイスで2021年末に1本の動画を投稿。「そのままの私って何?」と半信半疑での投稿だったが、想像以上の反響だった。「あざといね」といったコメントが多数寄せられ、それを機に「私にしかできない芝居をしよう」と考え、ドラマ仕立ての“あざと動画”にたどりつき、2年超もの間、コンスタントに投稿を続けた。こういった地道な活動が実を結び、今回の仕掛け人起用へとつながっていった。

自称する性格は「真面目で頑固」。『水ダウ』で見せた“ふわふわ”や“あざとさ”は、これまでに培ったテクニックを駆使したものだった。

「今回の反響があまりにも大きくて、『普段からああいうことをしているんじゃないか』と言われますね。私の中では、1つの役作りでした。もちろん全てが演技をいう訳ではなく、なるべく素の自分で接するようにしていましたが、しんいちさんが喜んでくれそうな仕草だったり、あざとさをプラスするよう心がけていました」

長い活動の中でも、今回の“バズり”は大きなターニングポイントと捉えている。

「今までいろんな挫折も経験してきて、『もう辞めたいな』と思ったことも正直ありました。でも芝居が好きという思いや、応援してくださる方の声があって、頑張ってこれました。今後は『こんな役もできるんだ』と思ってもらえるように、もっと違った三輪晴香も見てもらいたいと思っています」

6月22日からは出演映画『初めての女』の公開も控えている。19年に撮影を終えていたものの、コロナ禍で公開が先送りとなっていたが、偶然にも注目度が上がったタイミングでの公開となる。

「たくさんの温かいメッセージをいただけて、うれしいのはもちろんなんですけど、『これだけでは終われないぞ』『もっとギアを上げて頑張っていかなきゃ』と考えています。これからも初心の気持ちを忘れずに頑張っていきたいです」

芝居の道を突き進み続けた中での初バラエティーで浴びた思わぬ脚光。ブレイクのチャンスはどこに転がっているか分からない。しかし、そんなチャンスも地道な努力を続けてきた彼女だからこそつかめたものだった。

□三輪晴香(みわ・はるか)1996年1月4日、滋賀県出身。中学生から演技レッスンに通い、高校1年生で初舞台を経験。以後、舞台を中心に経験を積み、ドラマや映画など幅広く活動する今注目の俳優。2024年6月22日には出演映画『初めての女』が公開される。中村彰洋

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