印刷会社が子ども食堂  松井さん「カレーなら出せる」 八王子市

印刷機の前で特製カレーを手にする松井さん

3月1日現在、八王子市内に40カ所以上ある子ども食堂。経済状況は関係なく、子どもも大人も気軽に集える「居場所」として、市内でも年々数が増えている。そのなかで、3月に新町にオープンしたのが「しまねこ食堂」だ。

福祉団体や町会・自治会、飲食店など、複数人で運営するケースが多い中で、オーナーの松井康祐(60)さんは1人で印刷会社と並行して運営している。大手電機メーカーでプリンタの開発に携わり、その経験を生かし、3年前に同町で印刷会社を設立した。その際、「いつか飲食事業もできたら」と社内にキッチン設備を整えた。

ただ、一人で印刷物の受注や生産を請け合うなかで、なかなか飲食事業をはじめる見通しが立たなかった。そんななか、知人が子ども食堂を立ち上げようとしているという話を聞き、ふと「開所時間が限られている子ども食堂の方が本業との両立がしやすいのでは」と思った。

両立しながらできる範囲で

今までの会社人生で、特に福祉関係の活動には明るくなく、「まさか自分が子ども食堂を開くなんて」と話す松井さん。一方で、「できる人ができる範囲で行えば、支えられる子どもの数が増える」と開所のきっかけを振り返る。

本業との両立を念頭に、毎週水曜日の午後3時から6時まで、と開所日時を決定。「作業しながらでもすぐ温かくして出せる」カレー1品にメニューを絞った。店内で食べられるほか、テイクアウトもでき近隣家庭の夕食も支える意気込みだ。

開所日に偶然やってきた第四小に通う男児(小3)は松井さん手製のカレーをかきこみ、「おいしい。辛さもちょうどいい」と平らげた。

住所は新町2の16第4美山ビル103。子どもは無料、同行保護者は300円。大人のみの利用は寄付金込みで1000円となる。

4月には、高尾町に「高尾の森ふれあい食堂」という子ども食堂ももオープンしている。

都立南多摩中等教育学校が近くにある
大きめのお肉が特徴的

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