りんご輸出を手がける日本農業、42億円の資金調達 農産業のV字回復目指し海外の販路開拓も

日本農業は5月30日、約42億円の資金調達を実施したと発表した。農林中央金庫、慶應イノベーション・イニシアティブ、日本政策投資銀行などからのシリーズCラウンドにおける第三者割当増資および融資によるもので、今回の資金調達により、累計の資金調達額は約66億円に達したという。

2016年に設立した日本農業は、日本の農産物の生産から販売までを担い、タイ、香港、台湾などアジアを中心に、日本産りんごの輸出を手がけてきた。

青森での高密植栽培を採用したりんごの生産、選果や梱包、アジア各国への輸出および日本全国の販売の経験を生かし、現在はさつまいも(静岡県)、ぶどう(栃木県)、キウイ(香川県・群馬県)、いちご(山梨県)、なし(茨城県)、もも(茨城県)と、他の品目や産地へと事業を拡張している。2023年は売上高50億円を見込み、りんごを始めとした日本産農作物の輸出額は25億円を超えたとしている。

日本農業は日本の農産業の課題として、人口減少で消費縮小が進んでいるにも関わらず販売市場が国内に限定されていること、小規模農地で生産性が低いことなどを挙げる。日本の農産業を発展させるためには、規模を拡大して生産性向上とコスト削減を図り、海外でも競争力のある農産業を創出する必要があるという。

日本農業はこうした背景のもと、調達した資金によって最新の栽培方法や技術を取り入れ、研究開発や規模拡大、国内外の販路開拓など、新たなバリューチェーンの構築に取り組む。2024年夏には、青森県内の自社りんご選果場にて、オランダの選果機メーカー企業であるGREEFA(グリーファ)の大型選果機を導入し、効率化とコスト削減を見込む。

また、従来方法と比べ生産効率の高い栽培方法を取り入れながら、2025年以降も農地を拡大していく計画だ。耕作放棄地や荒廃農地を有効に活用し、収益性が向上する農業モデルを構築して、輸出産地の形成を目指すという。

日本農業で代表取締役CEOを務める内藤祥平氏は、「ビジネス経験やグローバルな活躍など、経験豊かな人材を採用しており、ビジネスとしての農業の確立を目指す。今回の資金調達を通じて、日本の農産業のV字回復を実現させるために、先陣を切りたい」とコメントしている。

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