上限20万円…経費の1部を補助 埼玉初、秩父市がドローン資格取得を補助金で支援 6月から申請受け付け

崩落した県道から中津川の集落へ物資を配送するドローン=2023年3月、秩父市中津川地区(市提供)

 埼玉県秩父市は29日、「市ドローン操縦者技能証明取得支援補助金」の募集を6月から開始すると発表した。ドローンを活用した業務の効率化や新規事業の創出を図る市内事業者に対し、ドローン操縦者技能証明の取得にかかる経費の1部(上限20万円)を補助する。市によると、同様の補助金制度は県内の自治体では初となる。

 同市によると、ドローンの技能証明は1等と2等がある。1等の取得費用は約100万円、2等は40万~50万円の費用がかかるという。同市は産業振興を目的に、2016年からドローンの活用を開始し、民間企業と連携した物流配送サービスの実証実験などを進めている。22年9月に同市中津川地区で発生した土砂崩落の際は、県道の寸断や林道の路面凍結の影響で移動が困難になった集落2地区(中津川、中双里)の住民に対し、ドローンによる物資の定期配送を実施した。

 今回の補助金制度は、22年12月の改正航空法施行で、ドローンの操縦者ライセンス制度が整備されたことを受けて実施。同法施行により、住宅地などの有人地帯の上空を、補助者なしで目視外飛行することが可能となり、取得への法人需要が高まった。

 補助対象者は、市内に事業所を有する全業種対象の事業者で、国や県の補助金との併用は不可。技能証明の種類は1等および2等の無人航空機操縦士で、補助対象経費は登録講習機関における入学金や講習受講費用、身体検査費用、技能証明書交付手数料など。

 同市の予算額は年100万円で、本年度は約5社の補助を予定している。6月17日から7月19日まで申請を受け付け、申請多数の場合は抽選となる。

 同市先端技術推進課の担当者は「これまで、ドローンなどの最先端技術を積極的に活用してきた秩父市が、県内で率先して事業者支援を行っていきたい。今後、能登半島地震のような災害が起こった際は、地元事業者と連携した災害支援スキームが構築できれば」と話していた。

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