KDDI、2030年に「月面5G」–宇宙通信の進化構想を明らかに

KDDIは5月30日、宇宙通信の進化構想を明らかにした。2028年をめどに月〜地球間通信、2030年をめどに月面での5G環境の実現を目指すという。

KDDIは1963年に日本初の衛星通信を手掛けるなど、日本における宇宙通信の先駆者だ。2024年末には低軌道衛星ブロードバンド「Starlink」とスマートフォンの直接サービスの提供も目指している。今回発表したのは、その先の宇宙通信の進化だ。

2028年以降の実現を構想する月〜地球間通信では、電波または光レーザーを用いて月〜地球間の通信環境を構築する。KDDIは約40年前から衛星間光通信を研究しており、この知見も活用する。なお、現在実用化されている衛星間光通信は伝送距離が最大で数千km程度なのに対し、月と地球間は約38万km離れている。このため、レーザーの光が発散しないように相手に届けるフォトニック結晶レーザーの研究開発を進める。

この延長線上として、2030年以降に月面5Gの実現を目指す。このために、月面のレゴリスを想定した電波伝搬試験を宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受託しているほか、宇宙ベンチャーのGITAIと共同でロボットによる基地局アンテナ建設の共同実験にも取り組んでいる。

月面開発をめぐっては、米国主導で欧州や日本など各国が参加する「アルテミス」(Artemis)計画や、中国やロシアが主導する「ILRS」計画が進行している。人類による月面開発は、2030年代以降に本格化すると予測されている。

(更新)初出時、月〜地球間の距離に誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。

© 朝日インタラクティブ株式会社