結婚式に参加できない?「毎月4万円」でやりくり…今どき26歳のリアルな財布事情【税理士が解説】

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26歳は、大卒なら社会人4年目、高卒なら8年目。仕事に慣れて余裕が出てくる時期です。投資に挑戦したり、副業を始めたりする人も多いでしょう。また、結婚や出産といったプライベートの大きな決断をする機会も増えます。しかしこの時期に、お金の知識をしっかりと持っている人はどれほどいるでしょうか。20代の税理士は0.6%しかいない中、23歳で税理士となった安江一勢氏の著書『26歳の自分に受けさせたいお金の講義』(すばる舎)より、一部を抜粋して紹介する本連載。安江氏が、人生における重要な選択の際に後悔しないためのお金の知識について解説します。

平均的な26歳はどれくらい稼いでいるのか

あなたは現在、毎月どれくらい、自由に使えるお金がありますか?

1万円なのか、3万円なのか、5万円なのか、もしくは0円なのか、それによってあなたの普段の選択肢に大きな幅が生じてくることでしょう。独身か既婚か、正社員かアルバイトか、実家暮らしかひとり暮らしか、会社員か起業家か、働いているか専業主婦(主夫)かなど、それぞれの状況で金銭事情は異なります。

では、平均的な26歳はどれくらいのお金を稼ぎ、どれくらい自由に使えるお金があるのでしょうか? ご自身のお財布事情と比べながら、読み進めてみてください。

国税庁が発表をしている「民間給与実態統計調査(令和3年分)」は、会社員の給与情報がデータとしてまとめられているものです。

このデータによると、25歳から29歳の平均給与は、男性が404万円、女性が328万円、平均が371万円となっています。地域差もあるので多少のブレはありますが、ここではこの男女平均値の371万円を使って見ていきたいと思います。

まず、年収371万円というのは、毎月の給与と賞与(ボーナス)が合わさった金額です。そのため賞与を夏1ヵ月分、冬2ヵ月分として、合計15ヵ月で年収を除していきます。すると、月収はおよそ「25万円」になります。

ただ、これは額面の金額なので、これを手取り額にする必要があります。くわしくは本書の「給与明細」の講義でお伝えをしていきますが、この年収を手取り額に換算すると、ざっくりとした金額で月に5万円ほどは税金や社会保険料で天引きがされます。つまり、およそ「20万円」が手取りの金額になります。年収371万円の場合、毎月この20万円で生活することになるのです。

「年齢を重ねれば年収が上がる」わけでもない…

それぞれの支出を計算していきます。

・食費をだいたい1日1,000円と換算して、3万円

・家賃を地域差も考慮したとして、7万円

・携帯代やネット代、水道光熱費などの生活費で、3万円

・各種保険料や美容代などで、3万円

すると、残りは4万円です。友人と食事に行ったり、ひとり時間を楽しんだり、買い物をしたり、旅行へ行ったりするお金は、この4万円のなかから捻出をしなければなりません。

貯金や投資も同様で、この4万円からする必要があります。そう考えると、じつは毎月カツカツです。

もし車を持っている方であれば、さらに車のランニングコストがかかっていきます。子どもがいる場合には生活費は増え、かかってくるお金も増えていきます。奨学金の返済がある場合には、毎月コツコツと返していかなければなりません。

すると、賞与のお金でやりくりをするしか方法がありません。

結婚式に何度か誘われたら、お金を理由に参加できないということが起こるかもしれません。突然、家電が壊れようものなら、その出費はピンチになります。

このように、お金に困った経験をされた方も多いのではないでしょうか? これがリアルな26歳のお金の状況です。このような状況では、なかなか「お金を使おう」という気にはなれないですよね。

実際、私も会社員として勤めていたときには、毎月の給与での生活はギリギリでした。賞与のほとんどを貯金することで起業準備のための活動資金にしたり、帰省をするときの交通費にしたりと、やりくりをしていました。

あなたはこのようなモデルケースと比べて、どのような生活をしていますか? また、どの部分があなたと異なっていますか?

年齢を重ねれば年収が上がるかというと、じつは思ったほど上がりません。

同データによると、30歳から34歳の平均給与は、男性が472万円、女性が322万円、平均が413万円です。これだと手取り額で、年間30万円ほどの差しかないので、月換算をすると2万円ちょっとしか給与は増えません。30代半ばになっても生活がいまとそれほど変わらないと考えると、なかなか先が暗い話ですよね。

でも、大丈夫です。そんな未来が来るとわかっているなら、いまから手を打ち、状況を変えてしまえばいいのです。

だからこそ大切になってくることは、自由に使えるお金を増やすためにも「お金を学ぶこと」です。自由に使えるお金が増えれば、それだけあなたやあなたのお子さんが選べる選択肢が増えていくからです。

安江 一勢

税理士

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