1メートルのロープで息合わせ 視覚障がい者の走り支えて25年 伴ネットが記念祝賀会 沖縄

ロープを握り合った伴走者と練習に汗を流す視覚障がい者ら=19日、那覇市の奥武山運動公園

 【那覇】マラソンに情熱を注ぐ視覚障がい者を支えてきた沖縄伴走ランナーネットワーク(伴ネット、親泊政哉会長)は今年、設立25周年を迎えた。約1メートルのロープを手に、二人三脚のように息を合わせて走る伴走者の協力で、フルやハーフマラソンを走り切った人も多く、県外からの協力依頼もあるほどだ。19日は定例の日曜練習会を奥武山運動公園で終えた後、那覇市内のホテルで記念祝賀会を開き、伴ネットのさらなる発展へ気持ちを新たにした。

 設立は1999年。当初から活動を続ける事務局長の大見謝辰男さんによると、県庁職員健走会が前身だ。96年に県内で初めて視覚障がい者マラソン大会が開催された際、同会がボランティアとして貢献。第2回大会前には視覚障がい者3人が健走会の練習に参加し始めたことから、有志で伴ネットを結成した。

 当初は二十数人の会員だったが現在は本部63人、八重山支部30人、視覚障がい者ランナー(ロープランナー)15人の計108人にまで増えた。

 伴走者の役割について、大見謝さんは「握りや振り方などロープから伝わるメッセージを基に方向や間隔を共有し安全な走りを支えている」と語る。フォームやペース配分を丁寧に指導し、「夢のまた夢」としていたフルマラソン完走を実現する人もいるという。

 19日の日曜練習会には約30人が参加し、準備運動の後、各自のペースで走った。

 子どもの頃に網膜色素変性症になり、視野が狭くなってしまった仲村康貴さん(43)は「曲がり角は人に気づきにくいが直線は少し大丈夫」と、見通しの良い場所ではロープを離して全力疾走した。2022年に挑戦したフルマラソンは35キロ地点でリタイアしたため、次は完走をと目標を掲げる。

 「伴走者が息を合わせてくれるので障害物も足元を見ずに超えられるようになった。出身が宮古島市なので全日本トライアスロン宮古島大会出場も目指している」と笑顔で語った。

 (嘉陽拓也)

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