マカオで高齢者狙った特殊詐欺の実行役に…香港人の17歳男女逮捕、4件関与

警察が公開した特殊詐欺事件の証拠品(写真:マカオ司法警察局)

 マカオ司法警察局は5月29日、特殊詐欺(電話詐欺)の実行役としてマカオを訪れ、マカオの高齢者4人から合計およそ27万パタカ(日本円換算:約527万円)を詐取したとして香港人の男女2人(いずれも17歳)を逮捕したと発表。

 同局によれば、同月24日、高齢者の女性から特殊詐欺の被害に遭ったとする通報が寄せられたとのこと。同日朝、女性のもとに”娘婿”を名乗る男から傷害事件の示談金として20万パタカ(約390万円)が急に必要になったため用立ててほしいという内容の電話があり、声が似ていたことからこれを信じ、銀行に行き現金を準備した後、電話の指示に従って自宅を訪ねてきた”弁護士アシスタント”の女に現金を渡したが、その後に(本物の)娘婿へ電話をした際に詐欺だったことに気づいたという。

 通報を受けた同局が捜査に着手し、容疑者2人の身元を特定。2人は現金を詐取しれた後、すぐにマカオを離れていたが、27日に再びマカオ入りしたところを逮捕に成功。この際、2人の所持品の中から詐欺で得たとみられる現金8900人民元(約20万円)及び犯行に使ったとみられるスマートフォンなどが見つかった。

 その後の捜査で、近日(5月20、24、27日)にもマカオの別の高齢者の男女3人が同様の手口の特殊詐欺被害に遭っており、これについても2人によるものであることが判明。

 2人は香港の特殊詐欺犯罪グループに雇われていた実行役で、マカオで弁護士や弁護士アシスタントに扮して高齢者から現金を詐取した後、人民元や香港ドルに両替した上で、広東省珠海市や香港にいるグループメンバーに届け、報酬を得ていたとのこと。同局では2人を巨額詐欺、組織犯罪、マネーロンダリングの罪で検察院送致するとともに、香港警察当局の協力を得て、本件に関与した他の人物の行方を追っているとした。

 なお、同局は本件を受け、昨年から直近にかけて電話詐欺事案を91件認知し、被害額は約609万パタカ(約1億1890万円)に上っているが、これまでに27件について36人を逮捕した中、香港の犯罪組織に雇われてマカオ入りした香港人の実行役が15人含まれることを明らかにした。

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