防犯&耐震対策で申請すると「貰えるお金」耐震ベッド購入で上限50万円、カメラ設置で上限2万円!

5月8日、群馬県安中市で2人組の男が70歳男性の自宅に押し入り、両手を縛って現金を奪う強盗事件が発生。長野県松本市、栃木県日光市でも似たような事件が起きた。

「日本各地で頻発する地震に不安を覚えたり、強盗や特殊詐欺被害のニュースを見て実家の老親が心配になったりする人も多いでしょう。じつは、こうした防災・防犯対策にかかる費用に対し、助成金や補助金制度を実施している自治体は多くあります」

こう語るのは『60歳からの「届け出」だけでもらえるお金 最新版』(宝島社)の監修書がある、社会保険労務士の小泉正典さんだ。

では、どんな“申請すれば貰えるお金”があるのか、しっかり学ぼう!

【防災編】

東京消防庁では、首都直下型地震により、都内で約5万5千人が家具の転倒や落下でけがをすると試算している。

「そのため、突っ張り棒や家具の留め具など、地震対策グッズを助成対象としているケースが多いです」(以下、小泉さん)

東京都港区では、65歳以上の一人暮らし、または高齢者のみの世帯などに、家具転倒防止器具等助成を行っている。

1人~2人世帯には150ポイント、3人以上世帯で195ポイントを上限に、家具転倒防止ベルト(27ポイント)、転倒を防ぐ粘着シート(51ポイントなど)、突っ張り器具(88ポイントなど)、ガラス飛散防止フィルム(29ポイント)などが現物で支給される。

古い家だから地震が怖いという人は、市区町村で実施されている耐震診断費用助成・耐震補強工事助成金などを利用したい。

「1981年6月以前に建築された、現在の耐震基準を満たさない木造住宅は、耐震診断や耐震工事の費用を助成してくれる自治体が多くあります。耐震工事に関しては上限金額を100万円ほどに設定しているケースが多い。2000年6月以前に建てられた住宅も、耐震助成の対象となることがあるので、自治体の窓口で確認してください」

■建物の倒壊から身を守るシェルターへの助成も

たとえ建物が倒壊しても、身を守る空間を確保してくれる頑丈な耐震ベッドや耐震シェルターの導入を助成している自治体も多い。

「東京都町田市では1981年5月31日以前の住宅など諸条件を満たせば、耐震シェルターおよびベッドに対して、一般世帯の場合は費用の2分の1(上限20万円)、高齢者世帯の場合は費用の10分の9(上限50万円)を助成してくれます」

親が死亡したり、施設に入るなどして放置されている空き家があるなら、老朽危険空家除去費用の助成制度などを検討しよう。

「倒壊の危険があって隣家に迷惑がかかったりする『特定空家』などに対して、解体費用を助成してくれます。上限金額は自治体によって幅があり、30万~100万円ほど」

たとえば東京都杉並区の場合、除去工事費の80パーセント(上限150万円)だ。

【防犯編】

東京都八王子市の場合、防犯対策品を同市内の販売店等で購入・設置するなど一定条件を満たした場合、費用の2分の1(上限2万円)を補助してくれる。

対象となる防犯対策品は、敷地内に設置する防犯カメラ、防犯フィルム、防犯性能の高い錠や補助錠、センサー付きライト、カメラ付きインターホンなど幅広い。予算残額が4割を切っているので、早めの申請が求められる。

東京都足立区でも防犯対策物品48種を対象に助成。八王子市でも扱う物品以外に、電動自転車のバッテリーロック購入費用の3分の2(上限1300円)、窓ガラス破壊センサー費用の2分の1(上限1500円)、ネットを発射して犯人を捕らえるネットランチャー費用の2分の1(上限2万5000円)など豊富だ。

■スマホの買い替えに3万円の補助もある

アポ電や特殊詐欺の被害も後を絶たないため、電話がつながる前に「この電話は詐欺対策のため録音をしています」などとアナウンスが流れる、詐欺対応型自動通話録音の電話機も、足立区では費用の3分の2(上限6500円)、65歳以上の人がいる世帯には4分の3(上限7500円)を助成してくれる。

こうした詐欺電話は固定電話にかかってくることが多いため、防犯対策としてスマホに切り替える高齢者も多い。

「キャッシュレス決済などの普及に伴い、高齢者への活用を促すために、スマホ購入費用の一部を補助してくれる自治体があります。埼玉県秩父市のシニア世代スマホ購入応援では上限3万円を補助してくれます」

また、高齢になった親の徘徊が心配な人は、位置を把握できるGPS機器のレンタル(月額500~1000円程度)を行っている自治体も。

補助金・助成金を利用して、不測の事態に備えよう。

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