JR北海道「稼ぐ」企業へ

今回のけいナビの特集はJR北海道について、なのだが…取り上げるのは鉄道事業以外の事業。同社はホテル業、小売業、不動産開発といった様々な事業を手掛け、ここ数年営業収益全体の4割ほどをこうした事業による売り上げが占めている。2023年度は580億円ほどだったが、これを2031年度に1200億円にまで押し上げることを目指していて、同社の「稼ぎ頭」へと成長させる方針だ。

番組MCの杉村太蔵さんが訪れたのは、大手不動産デベロッパーの大京(東京)と共同で開発する分譲マンション「ザ・ライオンズ札幌植物園YAYOI GARDENS」のモデルルーム。JR北海道が保有していた「ホテルさっぽろ弥生」と「極楽湯さっぽろ弥生店」の跡地、中央区北3条西12丁目に建設している。全83戸、2025年の完成予定で、価格は5000万円台から9000万円台。夫婦共働きで子どもがいない「DINKs」層を主なターゲットとしている。

JR北海道は分譲マンションだけではなく、賃貸マンションの開発も手掛けている。札幌の桑園地区に新たに建てた「ジュノール桑園」は、11階建てで全76戸。完成したばかりだが既に満室だ。手稲地区でも同じジュノールブランドの賃貸マンションを展開。こちらも入居状況は良く、施設に商業施設を集積することでマンションを核としたひとつの街を形成する戦略だ。

サービス付き高齢者向け住宅も運営。「ブランJR」のブランド名で、札幌、小樽、帯広で6棟を展開する。帯広の施設は、コロナ禍で利用が低迷したホテル「JRイン帯広」をリニューアルしたものだ。

小売業にも力を入れている。去年開業した商業施設「ココノ ススキノ」に、2店目となる「北海道四季マルシェ」を開業。人気のスイーツ店を集め、集客力を高めている。独自ブランド「DO3TABLE」も立ち上げ、販路を持たない小規模事業者の手による道産食材を道内外に発信している。

こうした鉄道事業以外の事業を一手に担当するのが、開発事業本部だ。本部長を務める林雅子執行役員は、こうした部門の利益を「2031年度の時点でコロナ前の1.5倍の150億円にまで増やしたい」と話す。

そのカギを握るのが、2028年度をめどとするJR札幌駅のリニューアル。施設を一新し商業施設を集積することで地元客、観光客の双方を取り込みたいとする。北海道新幹線札幌延伸の遅れが避けられない中、企業のM&A、不動産ファンドの設立といったこれまでにない取り組みを推し進め、安定収益を上げる考えも示した。

杉村さんは、多くの土地を各地に所有するJR北海道は、「道内最強の不動産デベロッパーになり得る」とし、本業以外の取り組みで新たな需要を喚起することができれば、本業の鉄道事業にも良い効果が及ぶとした。

(2024年6月1日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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