30年代迄が少子化反転のラストチャンス 総理

 岸田文雄総理は29日、総理官邸であった国と地方の協議の場で「広域化・共同化により、公共サービスやインフラの選択と集中を進める」との考えとともに「デジタル・トランスフォーメーション(DX)、AI(人工知能)の活用、官民連携によって、行政サービスの持続可能性を確保していく」と強調した。

 岸田総理は「地方の創生なくして日本の発展はない」とし「人口減少やインフラの老朽化が進む中、こうした社会課題の解決を成長につなげ、持続可能な地域社会を構築していくことが必要」と述べた。

 また「2030年代に入るまでが少子化傾向の反転のラストチャンス」との認識を示し「約3兆6000億円規模に及ぶ前例のない規模で、こども・子育て支援を抜本的に強化することにしている。制度や施策充実と併せて、社会全体で子どもや子育て世帯を応援する機運を高める取組みも重要。地方においても連携した取組みをお願いしたい」と協力を求めた。

 岸田総理は「本年の骨太の方針ではこのような取組みを始め、少子高齢化・人口減少を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる経済社会を構築するための方策を盛り込んでいく」とした。

 全国知事会や全国都道府県議長会などでつくる地方6団体は政府に対し「骨太の方針で、こども・子育て政策の強化に向けては国と地方が実務レベルも含め、丁寧な調整や意見交換・協議を行うなど、真に実効性ある取組みが展開できるよう、地方の意見を反映すること」を求めた。

 また「子ども・子育て支援金制度については支援金の目的や使途、負担の在り方等、国民の理解が十分得られるよう、国の責任において丁寧な周知広報を行うとともに、制度導入に伴うシステム改修費等の必要な経費について、財政的支援を講じること。歳出改革等については地方の意見を十分に踏まえて検討すること」も要望。

 あわせて「長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方、男性の育児休業の取得等の促進、不妊・不育症治療に係る休暇制度の創設など、誰もが希望に応じたキャリア形成や妊娠・子育て等と仕事を両立することができる仕組みを構築するとともに、特に人材面・資金面で課題を抱える中小企業への伴走型支援を強化すること」などを要望した。(編集担当:森高龍二)

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