大谷翔平に14号を打たれたメッツ投手「球団批判」でクビ「最悪のチームに所属していた」

ホルヘ・ロペス(ロイタ=USA TODAY Sports)

資金力潤沢な強豪が低迷の一途をたどっている。メッツは29日(日本時間30日)にホルヘ・ロペス投手(31)をDFA(事実上の戦力外)とする方針を固めた。理由は同日のドジャース戦での問題行動と、その後の球団批判が理由とみられる。

ロペスはこの日の8回、5番手でマウンドに上がった。問題行動は大谷翔平に14号2ランを浴びた直後。フリーマンへの4球目のスイング判定を巡って三塁塁審に対して激しく抗議、暴言を吐き捨てて退場となった。さらに、理性を失った右腕はグラブを一塁側客席に向かって投げ入れ、ベンチ裏に消えた。寄り添う仲間はおらず、物ごとがうまく回らないチーム状況を象徴するかのような一連のシーンだった。

それだけでは収まらなかった。試合後に手厳しいことで知られるニューヨークメディアに囲まれ、思いのたけを語ったロペス。メッツを総力取材する地元メディア「SNY」のインタビューに「私は私であり、私らしくいることを恐れない」と言及した上で「私はMLB全体でおそらく最悪のチームに所属していたと思う」と胸の内を吐き出した。

居合わせたメディアも耳を疑うようなタブーともいえる身内批判。SNYのフィールドリポーターとして顔の利くスティーブ・ゲルブス氏は、本人に発言の真意を再確認した上で自身のX(旧ツイッター)で「私は彼に説明する機会を与え、彼はそれが彼の言いたかったことだと認めた」と伝えた。

メジャー総年俸トップを誇りながら、ここまで22勝33敗と低迷。歯車がかみ合わないチームは、エースとして期待された千賀滉大が開幕から出遅れて復帰のメドが立っておらず、この日は絶対守護神のエドウィン・ディアスまでもが右肩の違和感で負傷者リストに入った。さらに、この試合で生え抜きの絶対的主砲ピート・アロンソが死球を受けて途中交代。頭を抱えたくなるような負の連鎖が続いている。

試合後のクラブハウスはメディアへの開放が遅れた。チームの精神的支柱であるフランシスコ・リンドーアが中心となって選手だけによるミーティングを開催。まだシーズン序盤だけに、空中分解寸前のチームをなんとかつなぎとめようと動いたとみられる。

地元メディア界隈では、ロペスの一件が恥ずべき行動と指摘される一方で、表面化した今回の騒動の根源がメッツの組織的問題にあるとの見方も根強い。大谷の一発などで同一カード3連勝を飾ったドジャースが勢いを完全に取り戻す一方で、東の名門球団が大きく揺れている。

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