サントリー、割材としてのおいしさ追求した炭酸水を開発 天然水にミネラル増量するなどの独自技術で細かく大量の高密度の泡

サントリー食品インターナショナルは、割材としてのおいしさを追求した炭酸水「サントリー天然水SPARKLING」を開発して5月28日に新発売した。

巣ごもり需要で拡大した炭酸水の割材需要が、定着化により行動制限がなくなった今後も高水準で推移するとの見立てのもと、家庭内需要の取り込みから入り、ゆくゆくは直飲み需要も獲得していく。

5月27日発表したSBFジャパンブランドマーケティング本部の小椋光平氏は「割材で選ばれることが直飲みにも波及すると考えている。お客様は割材用で購入した炭酸水を、割材だけでなく直飲みもするし、ケースでストックしているものを持って外出もする」と語る。

小椋光平氏(右)と飯見勇哉氏

この考え方から販売チャネルは、スーパーやECをメインとする。スーパーでは飲料売場を軸足に酒類売場にも提案していく。

割材需要の取り込みにあたっては、酒や飲料の割元のおいしさを引き立たせることが差別化につながると考えた。

新商品は、サントリーグループの酒類の知見を取り入れて開発された。

「サントリー天然水」にガス圧をかけて、ミネラルを増量するなどの独自技術で実現した細かく大量の高密度の泡が特長となっている。なお既存品と比べて最高レベルのガス圧に変更はなくミネラルを増量した。

SBFジャパン商品開発部の飯見勇哉氏は「ガス圧が高いだけだと舌先でバチバチと弾けるような炭酸刺激になってしまう。今回、ミネラルを強化したことで舌先だけではなくて口全体、喉にまで広がるような超爽快な刺激を実現した」と胸を張る。

酒や飲料の割元のおいしさを引き立たせる

添加したミネラルは、カリウムとマグネシウム。それらのバランスと量を調整して「直飲みでも割って飲んでもおいしいところを見つけていった」。

ミネラルの添加がいかに高密度・強刺激の泡感に寄与するかについては、独自技術のため詳細は非開示だが「炭酸が抜けていく中で、口の中に残る刺激をミネラルで補強するイメージ」と説明する。

ミネラルの添加により、氷に注いでも炭酸の刺激を維持しやすく、ウィスキーなどの酒類を割った際には「お酒が本来持つ香りやコクを引き立てるような設計になっている」。

家庭用商品に先立ち3月26日に業務用専用を先行発売したところ、前身の「サントリーソーダ」との比較で前年比約2倍の出荷で推移している。

「約9割(n=32)のバーテンダーの方からきめ細やかな泡感を実感いただき、新規取扱店は1400店を超えバー業態をはじめとして広がりをみせている」との手応えを得る。

業務用の開拓はサントリーグループ内の連携を強めて行っている。

「おうちドリンクバー POPメロンソーダ」と「同 C.C.レモン」との提案も行っていく

「ソフトドリンク(飲料)を炭酸水で割って飲まれるお客様も一定数いる」(小椋氏)との見方から、4月23日から発売している濃縮タイプ飲料「おうちドリンクバー POPメロンソーダ」と「同 C.C.レモン」との提案も行っていく。

「提案はお酒の方がメインになるが、幅広く割元の香りや味わいを引き立てるのが特徴なので飲料とも積極的に連携していきたい」との考えを明らかにする。

コミュニケーションはWEB動画で行っていく。

炭酸水の割材需要については「(アフターコロナに向かって)多少は減るかと思うが、かなりの数が定着すると思っている。やはり、お家で飲むのは楽な部分もあり、コスパもよい。自分の好みで割れる楽しさもあり、そのようなことに気づかれた消費者は今後も定着して残っていく」との見方を示す。

© 株式会社食品新聞社