『Believe』竹内涼真、“演じ分け”に“呪いの笑顔”で芝居のフルコース 「真相編」が開幕

竹内涼真による芝居のフルコースと言わんばかりに、『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)第6話は、竹内演じる黒木(竹内涼真)が大活躍する回であった。対するは、もちろん狩山を演じる、竹内とは初共演の木村拓哉だ。

第6話は、「真相編」が開幕する初回でもあり、護送途中に立ち寄ったホテルでの14分間に及ぶ事情聴取の中で、狩山は黒木との対話から新たな真相に辿り着く。龍神大橋の事故で亡くなった若松(竹内涼真)の会社が、橋を支えるハンガーケーブルを安全性の低いワイヤーに変更し、その差額を負債に当てていたために起こった人災であったとされていたが、実際は借金の返済は発注前に完済していた。そこから見えてくるのは、故意に事故を起こしたという疑惑。なぜ若松は危険な橋を戻っていったのか。なぜ死の間際に若松は謝ったのか。狩山の中にあった違和感が疑惑へと変わっていく。つまりは、この事件の絵を描いた人物、真犯人がいるということだ。

目を見張るのは、私怨に突き動かされた黒木のヒートアップしていく表情。前回、千佳(片山友希)に「狩山を執拗に追うのは、お兄さんの復讐のためですか?」と問われ、高笑いするばかりであったが、自らを“呪いの笑顔”と称し、「腹が立った時ほど笑いたくなる」と狩山と手錠が繋がれた腕を引っ張りながら両手を叩いて笑う姿は、常軌を逸している。ただ、これはあくまで千佳を欺くためということも考えられるだろう。狩山と黒木は事件の真相に辿り着くために結託。ホテルを出発し、再び護送に入る時にはすでに2人は手を結んでいる。黒木の情報収集用のスマホと金銭を持って、狩山は護送途中に逃亡。追いかける黒木は狩山に銃口を向けるものの、そのまま空へと威嚇射撃として発砲。シチュエーションとしては第3話での古着屋屋上と重なるが、結局黒木は狩山に向けて一度も撃たなかったこととなる。

千佳にもバレバレなように黒木はクビを覚悟で芝居をしてまでも狩山を逃したわけだが、本性が見えるのは若松に関する会話。黒木は借金に苦しむ兄――顔がそっくりなもう一人の自分を切り捨て、死に追いやった後悔に苛まれていた。鏡に写る自身の顔を見つめ、肩を落としうなだれる黒木は、先ほどまで狩山に怒号を飛ばしていた人物とは思えない。

そして、回想内では黒木と若松の会話も実現している。電話越しではあるが、それは竹内による1人2役の自分との芝居。20年以上会ってない兄からの貸付のお願いに、黒木は「あんたが無能だから」と叱責し、それに言い返せず青ざめた表情で絶望する若松。しっかりと演じ分けを成功させた上で、鏡に写る後悔に押し潰された黒木はあの日の若松にも見えてくる。

ちなみに、黒木のバディ役の千佳を演じる片山友希は、『消せない「私」ー復讐の連鎖ー』(日本テレビ系)に続き、2クール連続での刑事役である。

真相に辿り着くため、狩山が連絡を取ったのは、帝和建設社長・磯田典孝(小日向文世)。狩山が信じてきた人物だが、磯田はすでに証拠となるデータが入ったSSDをコーヒーの中に沈め廃棄している。次回、磯田への接触を試みる中で、意外な人物が黒幕として浮上してくる予感がする。

(文=渡辺彰浩)

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