『Re:リベンジ』“海斗”赤楚衛二が闇の深みにはまっていく 希望の光は“郁弥”錦戸亮なのか?

悪事は必ずバレる。それは古今東西、変わることのない真理だ。多くのエンタメでは、程度に差はあれど、悪事を働いた者は良心の呵責に苛まれ、自らの行動を後悔することになるはずなのだが……。木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)第8話は、いよいよ最悪な展開を迎えてしまった。

第7話のラストで陽月(芳根京子)の妹・美咲(白山乃愛)が天堂記念病院で手術を受けたものの、残念ながら命を落としてしまったところから“地獄の展開”は始まった。海斗(赤楚衛二)が医師の若林雄介(橋本淳)から受けたのは、衝撃的な報告だった。執刀医の岡田(内田慈)が手術中に電気メスで肺を傷つけてしまった可能性があるというのだ。若林は、病理解剖をすれば死因は明らかになると訴える。火葬が終われば検証はできなくなるため、遺族に病理解剖を提案するべきだと主張したのだ。

海斗は言葉を失い、皇一郎(笹野高史)に一部始終を報告する。しかし、皇一郎は「美談にして世間には広めておけばいい。いまさら綺麗事を言うつもりか? このことは忘れろ」と冷淡に告げる。海斗は岡田に医療ミスの件を尋ねるが、岡田は「こちらに落ち度はない」と無責任に答え、次の患者に取り掛かってしまう。まさに病院の闇が浮き彫りになった瞬間だった。

その後、海斗は陽月から、美咲が亡くなった日に郁弥(錦戸亮)から病理解剖を勧められたと聞いて驚く。陽月はこれ以上美咲の体を傷つけたくないと考え、郁弥の提案を断ったのだが、その判断が間違っていたのではないかと悩んでいた。

そんな中、病院のホームページでは、美咲の死に関して病院に落ち度がなかったこと、解剖は遺族の意向により行わなかったことが公表される。抗議する若林を、海斗は「今さらどうすることもできない」と突っぱねてしまう。海斗はどこで道を誤ってしまったのだろう。物語の雲行きはどんどんと怪しさを増していく。

一方、海斗が以前勤めていた出版社に、美咲の手術について「医療過誤の可能アリ」というメールが届く。海斗は若林の発言を元に皇一郎に再び掛け合うが、皇一郎は証拠となるレントゲンを削除し、医師の口を封じるように命じる。病院を守るためにあらゆる手段を使ってきたと言う皇一郎の言葉からは、病院の暗い歴史が感じられた。

海斗は岡田と若林を呼び、3人で美咲の手術について話をする。証拠のレントゲン写真を消された若林は言い返すことができず、医療過誤の可能性をなかったことにされてしまう(もはやこの病院の良心は若林と郁弥しかいないのではないか)。「心配かけてごめんね」「こうして前を向けるのも海斗の存在が大きい」と言ってくれる陽月に「俺の前では無理しなくていいから」とカッコよくキメていた海斗だが、そんなことを言う資格は彼にはないだろうとすら思った。

そこに紗耶(見上愛)から「すぐ会いたいんです」と電話が。紗耶は海斗の前に現れるなり、「本当に手術は成功したんですよね?」と不安げな様子を見せる。彼女は医療過誤の可能性からレントゲン写真の削除に至るまでの詳細をなぜか知っており、海斗はその事実に動揺を隠し切れなかった。「病院内の者によるデマだ」と言い切った海斗は、紗耶を抱きしめ、彼女の好意を承知の上でキスをしたのだった。

『Re:リベンジ-欲望の果てに-』は、今週のエピソードで第8話を迎えた。後半戦に突入したにもかかわらず、海斗はプロジェクトを実現させるどころか、どんどんと病院の闇の深みにはまっていく。匿名メールを送った郁弥は改めて、岡田のミスによって引き起こされた呼吸不全が美咲の死因だったことを海斗に告げる。さらに、郁弥は海斗に対し、「全てを公表し、理事長の座を降りろ」と迫ったのだった。

海斗は郁弥の指摘を受けてもなお、皇一郎の方針に従い、真相を闇に葬り去ろうとするのか。あるいは、郁弥が病院を正しい道へと導くために奮闘するのだろうか。海斗の内なる葛藤と、彼の周囲の人々の思惑が絡み合う中で、物語はさらなる緊迫感を帯びていく。病院の闇に染まった海斗を救える人物は、もはや存在するのだろうか。自身が招いた地獄から、正しい道を選んで這い上がる海斗をぜひ見たいものだ。

(文=すなくじら)

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