【新日本・BOSJ】デスペラードを悲願の初優勝へ突き動かす〝屈辱の準Vトロフィー〟「ゴミ箱行きだよ」

「惨めな思いはしたくない」デスペラードはシルバーコレクター返上を誓う

新日本プロレスジュニアの祭典「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア(BOSJ)」30日後楽園大会のAブロック最終公式戦で、エル・デスペラードがHAYATA(36=ノア)から6勝目を挙げ、準決勝(6月3日、後楽園)進出を決めた。悲願の初優勝へデスペラードを突き動かすのは、過去2度の準優勝で味わった〝トロフィー破棄事件〟の屈辱と、日程の妙によって発生した必勝の十字架だ。

ノアのGHCナショナル王座を保持する実力者との最終公式戦。リバースタイガードライバーからのピンチェ・ロコで激闘を制し、Aブロック1位突破を決めた。ジュニアヘビー級トップ選手としての地位を確立して久しいデスペラードだが、BOSJのタイトルだけは縁がない。それだけに8度目の出場となる今大会は、開幕前から優勝を自らに義務付ける発言を繰り返してきた。

〝シルバーコレクター〟はもうごめんだ。2020年と22年は準優勝。あと一歩のところで届かなかった者にしか分からない悔しさがある。デスペラードは「知ってる? 準優勝のトロフィーってあるんだよ。渡されるのもバックヤードで、スタッフからもらうの。俺、1個もキープしてません。そのままゴミ箱。それを眺めて臥薪嘗胆(がしんしょうたん)みたいなマゾヒスティックな趣味、俺にはないから」と当時を回想。

「決勝で負けました、スタッフに渡されました、家に飾ります…ってなるかい! それだけ優勝者と準優勝者には差があるってこと。もちろん差はあっていいんだけど、そういう形じゃなくていいだろうと。あんな惨めな思いはもう二度としたくないなと」と、今度こそ優勝トロフィーを手に入れるつもりだ。

決勝戦(6月9日、大阪城ホール)の翌日には特別興行「デスペ・インビタショナル」(同10日、後楽園)を控えている。例年であればBOSJは大阪城大会前に決勝を迎えており、今年はイレギュラーな日程となっている。デスペラード自身も当初は6月3日後楽園大会がBOSJ決勝のつもりで興行の準備を進めてきたという。

「でもフタを開けたらドミニオン(大阪城大会)が決勝になり…。これ俺、決勝も行かないでこんなことやってたら『そんなことやってるから決勝行けねえんだ、お前は』って絶対言われるじゃん。こうなったらもう、やるなら今しかねえって感じだよ。その気はなかったんだけど、結果として優勝しなきゃいけない理由がもう一つ乗ってしまったという。点数は変わらないけど余計に1翻乗っちゃったって感じだな」

優勝候補としての重圧も、周囲からの期待も全て背負い、ならず者が頂点へ突き進む。

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