ゆのごう美春閣 大津の同業に承継 ホテルリゾート下電

ホテルリゾート下電が事業承継する「ゆのごう美春閣」=美作市中山

 ホテルリゾート下電(倉敷市大畠)が、経営する旅館「ゆのごう美春閣」(美作市中山)の事業を、同業の湯元館(大津市)に承継することが30日までに分かった。6月1日付で、営業は途切れず継続する。同じ下電ホテルグループでは、下電ホテル(倉敷市大畠)が営む鷲羽山下電ホテル(同所)の事業譲渡計画もある。計画通りに進めば、同グループが手がけるホテル、旅館はなくなる。

 ゆのごう美春閣の承継は吸収分割方式で行い、事業は、滋賀県内で温泉旅館を経営する湯元館が4月に設立した完全子会社「美春閣」(大津市、資本金1千万円)が引き継ぐ。パートを含む従業員約120人の雇用は維持する。施設名は変更しない。

 新型コロナウイルス禍で宿泊客が減るなど厳しい経営状況が続き、承継先を探していたという。湯元館側とは2月から協議を進めていた。湯元館は京都や滋賀で旅館業などを展開する利他グループの中核企業。グループの売上高は31億5千万円(2023年7月期)、従業員は336人(パートなど含む)。

 ホテルリゾート下電は、下電ホテルがゆのごう美春閣の前身の旅館を譲り受け、02年に運営会社として設立。客室数は84室で、露天風呂や大小宴会場計11室などを備える。

 永山久徳社長は「どうすれば地域のためにも良いか経営の方法を考えていた。営業は変わらず続くので今後も安心して利用してもらいたい」としている。

 下電ホテルの事業譲渡計画を受け、高梁市は29日、同社が指定管理者となっている市所有の宿泊施設「ラ・フォーレ吹屋」の休業を発表。同社はほかに、倉敷市営の鷲羽山レストハウス(同市下津井田之浦)の指定管理業務も請け負っている。

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