V8を讃えよ!『マッドマックス:フュリオサ』評価は?

(C) 2024 Warner Bros.Ent. All Rights Reserved

マッドマックス:フュリオサ』2024年5月31日公開

マッドマックス 怒りのデス・ロード』に続き、シリーズの生みの親であるジョージ・ミラーが監督を務めるアクション。世界崩壊から45年後、故郷からさらわれたフュリオサがバイカーたちの軍門に降り、荒廃した世界で城塞都市の支配者イモータン・ジョーとの戦いに巻き込まれる。主人公フュリオサを『ラストナイト・イン・ソーホー』などのアニャ・テイラー=ジョイ、バイカー軍団のリーダーを『アベンジャーズ』シリーズなどのクリス・ヘムズワースが演じる。

編集部・入倉功一 評価:★★★★★

怒涛のノンストップカーチェイスで、絶対的支配からの自由への逃走を描いた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が、壮大なサーガとして帰ってきた。義手の戦士フュリオサの過酷な運命と15年にわたる復讐の物語は、3日間を一気に駆け抜けた『怒りのデス・ロード』とは全く違う驚きに満ちており、前日譚とは思えないほど新鮮だ。

壮大な物語だけに、シャーリーズ・セロンからフュリオサ役を受け継いだアニャ・テイラー=ジョイの登場まで時間はかかるが、幼少期のフュリオサ(アリーラ・ブラウン)と彼女の母メリー・ジャバサ(チャーリー・フレイザー)の存在が、そのアニャの不在を補ってあまりある魅力を放っており、冒頭から目が離せない。たくましくもどこか小物感の漂う悪役に挑んだクリス・ヘムズワースが見せるキャリアハイのぶっ飛び演技も必見。

ジョージ・ミラー監督の比類なきビジュアルセンスと、完璧な音楽のようにつながっていく芸術的なアクションの魅力は健在。メル・ギブソンの『マッドマックス2』を思い出すバイカー集団の参戦によって、シリーズファンにとっては二度おいしい一本に仕上がっている。

編集部・倉本拓弥 評価:★★★★

狂気のノンストップアクションで全世界を虜にした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)から約10年、『マッドマックス:フュリオサ』は前作のDNAを踏襲した正統な前日譚に仕上がっている。フュリオサの復讐劇を5章にチャプター分けして丁寧に描き出し、『怒りのデス・ロード』では知ることができなかった彼女の壮絶な背景を余すことなく描き出す。高貴な役柄のイメージが強いアニャ・テイラー=ジョイの激変ぶりもすさまじく、バズカット姿で額にオイルを塗りたくり、復讐の炎を燃やすフュリオサを見事に演じ切った。

『怒りのデス・ロード』と比較すると、アクションはややボリュームダウンするが、それでもお馴染みのウォー・タンクや魔改造された車&バイクが、終末世界を爆走する狂気の光景は圧巻だ。独裁者イモータン・ジョーのカリスマ性、白塗り武装集団ウォーボーイズの暴れっぷりも健在で、鑑賞後は「V8を讃えよ!」と叫びたくなるはず。来年80歳を迎えるジョージ・ミラー監督の映画製作へのアツさはとどまることを知らず、『マッドマックス』サーガは新境地に到達した。

『マッドマックス:フュリオサ』あらすじ

世界崩壊の45年後。故郷である緑の地からさらわれ、家族と引き離されたフュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)は、荒地を掃討するディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)率いるバイカー軍団の手に落ちる。彼らは水や緑、石油、土地などをめぐり、城塞都市を統べるイモータン・ジョーと争っていた。フュリオサは彼らと行動を共にしながら故郷への帰還を目指す。

© 株式会社シネマトゥデイ