ジャッキー・チェン70歳、後継者探しは「難しい」集大成作品に込めたスタントマンへの感謝

70歳とは思えないジャッキー・チェンの健在ぶりを観ることができる『ライド・オン』 - (C) 2023 BEIJING ALIBABA PICTURES CULTURE CO., LTD.,BEIJING HAIRUN PICRURES CO.,LTD.

昭和・平成・令和を駆け抜け、今年古希(70歳)を迎えたアクションレジェンド、ジャッキー・チェン。初主演作から50年を経た“究極の集大成”といえる『ライド・オン』(全国公開中)の日本公開を直前に控え、数々の出演オファーの中から本作を選んだ理由や過去に挑んだ命懸けのアクションを振り返りつつ、自身の後継者といえる人物についても語った。(くれい響)

ここ数年、ジャッキー映画で育った監督から、集大成的な作品への出演オファーが多かったジャッキーだったが、まったく食指が動くことはなかったとのこと。「僕の人生を振り返るところに焦点を置いても、あまり面白い作品にならないと思っていたからね。でも、ラリー・ヤン監督がもってきた脚本には、そのほかに父と娘、父と息子の感情のドラマがしっかり描かれていました。しかも、息子が愛馬であるところに面白さを感じました。あまり見たことのない設定なうえ、馬との共演は自分にとって新たなチャレンジになると思い、『ライド・オン』の出演を決めたんです」

ラッシュアワー』(1998)、『シャンハイ・ヌーン』(2000)など、これまでもバディを組んできたジャッキーだが、まさかの馬とバディを組んだ今回のキャラ設定は、第一線を退いた伝説のスタントマン。「皆さんは忘れているかもしれませんが、僕はスタントマン出身で、この仕事を始めなかったら、今のジャッキー・チェンは存在しません。そして、僕が世界的なアクションスターになることができたのは、命を懸けて僕をサポートしてくれたスタントマンのおかげです。だから、『ライド・オン』は僕の人生を振り返るとともに、彼らへの感謝の気持ちとオマージュを捧げた作品でもあるんです」と、熱い思いを語る。

さらに『ライド・オン』劇中には、これまでのジャッキー作品のオマージュが散りばめられているほか、彼が演じるジーロンが実際に過去のジャッキー映画を観返し、思い出に浸るシーンも登場する。「なぜ、あんな危険で無茶なアクションを命懸けでやろうと思ったのか? その理由は自分でも分かりません(笑)。当時はどの作品に対しても、一生懸命やることしか考えてなかったですから。いろんな作品で、いろんな場所の骨が折れ、脳の手術まで受けましたが、幸いなことに今こうやって会話ができていますし、まだまだアクションもできます。ただ、30代の頃のスタントをやってほしいと言われても、正直ムリなので、そればかりは勘弁してください」とユーモアも忘れないのもジャッキーらしい。

馬と娘との絆の物語も本作の見どころ(C) 2023 BEIJING ALIBABA PICTURES CULTURE CO., LTD.,BEIJING HAIRUN PICRURES CO.,LTD.

だが、やはり気になるのは、ジャッキーの後継者について。その最右翼といえるのが、年内撮影予定の『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004)の続編『新警察故事2(原題)』で再共演するとともに、監督も務めるニコラス・ツェーといえるだろう。「サモ・ハン・キンポーと僕に関しては、後継者を見つけることは難しいかもしれません。僕たちはアクション俳優のほかに、脚本や監督、カメラマンや編集マンとして、作品全体に関わってきましたから。ただ、ニコラスはスタントマンやアクション俳優出身ではないものの、かなりの努力家で、さまざまなアクションや武術を一生懸命学び、習得しています。なので、次世代のアクションスターになる要素は十分持っています。あとは『ライド・オン』でも共演したウー・ジンも才能があり、彼らの今後に期待しています」とエールを送りつつ、生涯現役もアピールするジャッキー。その雄姿は劇場のスクリーンで観る価値ありだ。

© 株式会社シネマトゥデイ