巡回連絡、若年世帯も 自転車盗、詐欺被害防ぐ 茨城県警 3年で123万世帯一巡へ

一般世帯への巡回連絡でSNS型投資詐欺について説明する水戸署員=水戸市内

茨城県警は6月から、県内の高齢者53万世帯を対象に実施してきた巡回連絡の対象を一般の約70万世帯にも拡大する。3年間で計123万世帯の一巡を目標に、若年層でも被害が相次ぐ自転車盗や投資詐欺などの注意を呼びかける方針。既に一部の警察署管内で始まっており、今後は県内全域に拡大する。

県警は昨年6月、65歳以上の高齢者世帯を一巡する巡回連絡を開始。制服の警察官が1軒ずつ訪問し、ニセ電話詐欺や住宅侵入盗の対策を呼びかけたり、反射材を貼付して事故防止を働きかけたりした。5月28日までに全体の92.5%の巡回を終えた。

一瀬圭一本部長は、巡回連絡について、固定電話にかかってくるニセ電話詐欺の被害と人対車の交通死者が、対前年比で減ったことなどの効果を挙げながら「人の心理に直接訴えかける施策の有効性が立証された」と強調した。

ただ、自転車盗や金属盗の増加傾向には歯止めがかからず、全国で相次ぐ交流サイト(SNS)を使った投資詐欺の抑止対策も急務。このため、家庭環境に応じた犯罪の情報を周知し防犯対策を呼びかける必要があるとして、一般世帯対象の巡回連絡実施を決めた。一瀬本部長は「高齢者への特効薬に加え、今後は全世帯に万能薬の性質を持つ対策をする」と述べた。

共働きや1人暮らしなどの世帯では在宅時間帯が限られるため、留守時には署員が名前や連絡先を記載した「パトロールカード」をポストなどに投函(とうかん)。住民から連絡を受けた後、訪問日程を再調整する。

県警水戸署は本格開始前の27日、同県水戸市内の一般世帯で巡回連絡を実施。同署員が家族構成などを確認後、被害が拡大しているSNS型投資詐欺やロマンス詐欺の現状、自転車盗の被害防止に有効とされる2重ロックについて説明した。

初めて巡回連絡を受けた飲食店経営、師岡宏道さん(44)は「防犯意識が低かったかもしれない。投資の話はよく耳にするので、気を付けなければいけない」と気を引き締めた。妻で美容師、栄美子さん(43)は「制服警察官に緊張したが、説明を聞いて安心した」と話した。

訪問した長谷川祐大巡査長(25)は「1軒ずつしっかり巡回し、県民のディフェンス力を上げたい」と語った。

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