「戦没者のために」忠魂殿美しく 小城市の3社が剪定ボランティア 遺族会員減少 管理行き届かず

戦没者忠魂殿の周囲の木々を剪定するボランティア=小城市三日月町

 小城市内の建設業など3社が、同市三日月町の戦没者忠魂殿の樹木を伐採、剪定(せんてい)するボランティアに取り組んだ。遺族会の会員減少や高齢化で忠魂殿の管理が行き届かなくなっており、各社が持つノウハウを生かして生い茂った樹木を取り除いた。

 三日月町戦没者忠魂殿は、1954(昭和29)年に戦没者の妻や父母らが建立し、太平洋戦争などで亡くなった430人余りを祭っている。三日月小の敷地内にあり、町遺族会(秋丸喜代晴会長)の役員が維持管理に努めてきた。だが役員の高齢化で高所作業が難しくなり、樹木は周囲の水路や隣接する家屋にまで伸びていたという。

 「会員の減少はどこでも共通の悩み。労力、資金面など維持管理の問題はこれから出てくる」と県遺族会会長の山口貢さん(85)=佐賀市。三日月町でも以前は300人程度いた遺族会の会員は年々減少し、現在は約110人。秋丸さん(86)は「会費収入も減って、業者に頼むこともできずに困っていた」と話す。現状を耳にした地元の嶋本建設が、市内の巌大建業、渕上造園の2社にも声をかけてボランティアに取り組んだ。

 3社の11人がこのほど、高所作業車やチェーンソーを使い、場所によっては高さ10メートル以上に伸びた樹木を伐採するなど、約5時間かけて忠魂殿の周りをきれいにした。秋丸さんは「それぞれ仕事がある中で、機械がないとできないような作業をしていただいた。感謝しかない」と話す。

 嶋本建設は忠魂殿への献花や清掃を毎月行っているという。嶋本弘文社長は「戦没者の方があって今の私たちがいる。孫の代になって人が集まらないと聞いていたので、喜んでもらえて良かった」と話した。

(古川浩司)

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