大東建託、23年度決算は増収増益、計画を上回る実績で着地

2023年度決算は、完成工事高の増加、価格改定効果などが大きく寄与し、計画を上回る増収増益となった。また、26年度まで3カ年の中期経営計画を発表。26年度売上高2兆円、営業利益1400億円を目指す。

2024年3月期の決算は、売上高1兆7314億円(前期比4.5%増、計画:1兆7150億円)、営業利益1048億円(前期比4.8%増、計画:1030億円)、経常利益1087億円(同4.6%増)、当期純利益746億円(同6.1%増、計画:730億円)と、計画を上回り増収増益で着地した。

セグメント別に見ると、建設事業は、工事が順調に進捗したことなどにより、完成工事高が4924億円(同7.2%増)、また、完成工事総利益率は、価格改定効果の寄与により、同2.1ポイント増加の23.4%、営業利益は289億円(同35.5%増)となった。受注工事高はコロナ後、展示施設や現場見学会などの販促活動の活性化を図ったこと、キャンセル額が低水準で推移したことなどにより、5904億円(同17.2%増)、24年3月末の受注工事残高は、7870億円(同9.0%増)。今期の同社の賃貸着工戸数は34万395戸(同7032戸減)、シェアは12.6%(同0.8ポイント増加)となった。

完成工事高・完成工事総利益率

不動産事業は、「賃貸経営受託システム」による一括借上物件の増加などを背景に、一括借上を行う大東建託パートナーズの家賃収入が増加したことなどにより、不動産事業売上高が1兆1291億円(同2.4%増)、営業利益は820億円(同0.6%増)となった。入居率は97.9%(全社平均)で、ほぼ満室で推移。戸あたり家賃は6万6273円。10年前の2014年3月期(6万2908円)から5%上昇している。

その他の事業は、投資マンションの販売戸数、23年度からスタートしたビルドセットおよびリノベーション・再販の販売棟数が増加したことなどにより、売上高は1098億円(同15.6%増)、営業利益は206億円(同36.6%増)と、大幅な増収増益を達成した。25年3月期の連結業績は、売上高1兆8200億円(前期比5.1%増)、営業利益1100億円(同4.9%増)、当期純利益760億円(同1.8%増)を見込む。不動産事業の営業利益は前期比90億円の減益を計画。竹内啓社長は「前期、前々期は新型コロナウイルスの流行により退去が減少し、過去最高水準の入居率および収益水準となった。今期は新型コロナウイルス流行前の入居率水準に徐々に戻ることによる家賃収入の減少を想定している」と述べた。

中期経営計画(2024~2026年)も発表した。3つの柱として、「人的資本経営の推進」、「強固なコア事業の確立」、「注力分野への対応」を掲げ、26年度目標として、売上高2兆円、営業利益1400億円、ROE20%を目指す。「強固なコア事業の確立」の一環として、技術者の不足に対応した施工量平準化に取り組む。建築コスト上昇を抑制、受注量増加に対応した施工量を確保する。また、「注力分野への対応」の一環として、ビルドセット事業・リノベ再販事業に不動産投資額1000億円を投資し、不動産開発事業の拡大を目指す。23年度のビルドセット事業の売上高は500億円、営業利益20億円であった。積極的に投資を行うことで、25年度売上高750億円、営業利益45億円、26年度売上高1000億円、営業利益70億円にまで成長させる計画だ。

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