豊田自動織機 水素製造装置用電極を開発 28年ごろ市場投入目指す

 豊田自動織機は30日、水を電気分解して水素を製造する装置用の電極を、独自に開発したと発表した。アルカリ水電解用の電極で、貴金属やコバルトを使わずに電解効率を維持できるのが特徴。装置メーカーやシステムメーカーに売り込み、2028年ごろの市場投入を目指す。

 開発した電極は、電解効率に優れる独自設計のニッケル系合金材料を使って仕上げた。陰極、陽極いずれも希少性の高い貴金属やコバルトを使わずに、アルカリ水の環境下でも安定的かつ効率的に電解できる。従来、課題だった電極の剥がれによる劣化も抑え、貴金属やコバルトを使った電極と同等レベルに電解効率を維持できる。

 同社はニッケル水素電池の量産を行っており、ニッケル水素電池の充電反応と、水の電気分解反応が似ていることから、電極の開発に着手。ニッケル水素電池の開発過程で培った材料や分析、生産の技術を活用した。

 装置メーカーやシステムメーカーのニーズも収集しながら、サンプル供給を開始。現在は40センチ角のサイズだが今後、1平方メートルの電極へサイズアップを図り、来年中にも試作設備を導入する。

 水素製造装置の市場は、水電解の電力規模で見れば2030年に、23年比約27倍の134ギガワットに拡大すると見込まれている。

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