糖尿病になりやすい「食習慣」が分かった! 京都府立医大が日本人13万人を10年間調査

4つの「食行動」が糖尿病発症リスクを高めるノンクレ

日本人の10人に1人が患っているとされる糖尿病は、国民病ともいえる身近な病気だ。どんな人が発症リスクが高いのか。京都府立医科大の研究グループが約13万人を10年間にわたり追跡調査した研究成果を発表した。4つの「食行動」が、発症リスクを高めることが分かったという。

京都府立医科大のグループが行った追跡調査は、2008~18年の10年間に健康診断を受けた糖尿病罹患歴のない12万8594人を対象にしたもの。かつてない大規模なものだ。「食行動」と2型糖尿病の発生率との関係を調べた。

追跡期間中(平均追跡期間:6.4年)に、6729例(5.9%)が2型糖尿病を発症している。2型糖尿病の発症は、生活習慣が大きく関わっている。

追跡調査の結果、「朝食を抜く」(週3回以上)、「夕食後の間食」(週3回以上)、「寝る前に食事をする」(就寝2時間前に週3回以上)、「早食い」──の4つの食行動のある人は、糖尿病の発症リスクが高いことが判明したという。

それぞれのハザード比(起こりやすさ)は「朝食を抜く」(1.33)、「早食い」(1.96)、「間食」(1.07)、「寝る前」(1.08)だった。研究グループのひとり、豊國恵麻医師に話を聞いた。

「4つの食行動のうち、とくにハザード比が高かったのが『朝食を抜く』と『早食い』でした。朝食を抜くと、食事を食べない時間が長くなり、体はエネルギーを得ようとして脂肪を代謝するときに遊離脂肪酸という物質を分泌します。この遊離脂肪酸には、インスリンの作用を阻害する働きがあり、血糖値が上昇してしまうのです。早食いは、食べ過ぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招き、インスリンの分泌が追いつかなくなります」

2型糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が正常より多くなる病気だ。膵臓から分泌されるインスリンの働きの低下が原因で起こる。インスリンの働きが低下すると、血液中のブドウ糖を上手に処理できなくなり、血糖値の高い状態がつづくことになる。血糖値の高い状態がつづくと、徐々に全身の血管や神経が障害されてしまう。

日本では非肥満の糖尿病患者が多い

ポイントは、食事で血糖値を上げすぎないようにすることだ。

京都府立医科大の調査研究では、BMI25キロ/平方メートル未満と、BMI25キロ/平方メートル以上との比較もしている。分かったことは、BMI25キロ/平方メートル未満=「非肥満」の方が、食行動と糖尿病発症の関連が高かったことだ。やせ形は、食行動に注意を払う必要がある、ということ。

BMI25キロ/平方メートル以上(肥満)は、「朝食を抜く」以外、発症リスクとの関係は見られなかった。

「そもそも、肥満が糖尿病発症のリスクを高めることは間違いありません。ただ、意外かもしれませんが日本では糖尿病発症者は、非肥満の人が多い。肥満の方には、糖尿病の発症リスクを低くするために『体重を減らしましょう』とは言えるのですが、肥満でない人はどうすればいいのか、という問題がありました。それだけに、追跡調査によって、『食行動』と発症リスクの関連が分かったことは大きな成果だと考えています」

糖尿病の恐ろしさは慢性腎不全や失明など多くの合併症を起こすことだ。発症を防ぐためにも、食べ方にも気をつける必要がある。

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