酒米「白鶴錦」 銀座ビル屋上で田植え 昨年産も高評価 白鶴酒造

白鶴酒造は、東京・銀座に構える東京支社屋上の農園「白鶴銀座天空農園」で、自社開発の酒米「白鶴錦」の田植えを5月24日に行った。当日は好天のもと、社員や取引先ら総勢約40人が参加。ゲストで「2024 Miss SAKE Japan」ファイナリストの高島桃子さん(東京・写真中央左)、南侑里さん(大阪・同右)も挑戦した。

銀座から日本酒文化を情報発信したいとの想いから、07年にスタートしたプロジェクト。初年度はプランター100基で栽培を始め、翌年は地上約30mの自社ビル屋上(約110㎡)を田園に大改修。当地で田植え、稲刈りなど酒米の栽培を休まず継続し、今年で18回目を迎えた。13年からは白鶴銀座天空農園で収穫した白鶴錦100%で仕込んだ日本酒を数量限定で発売している。

栽培株数は約1千700株、収穫量は籾付きで約50㎏を見込む。一般的な稲作では土の深さが約60cm必要とされるが、ビル屋上では重さに制限があるため15cmの深さまでしか土を敷けないという。そのため、必要な栄養を行き渡らせる工夫や、水温の調整、こまめな水の補充などが求められる。

プロジェクトのチームリーダーを務める山田亜由美氏によると、昨23年産は11月の穀物検査で品質に高評価を得た。日照時間を確保するため田植えの時期を早め、8月以降の猛暑では毎日の巡回や水の管理を徹底したという。今年も日々の作業は東京支社営業サポートグループの8人を中心に、通常の業務と並行して行われる。「引き続き良いお米が作れるよう、愛情を込めて育てていきたい」(山田氏)。

「白鶴錦」は同社オリジナル酒米。開発開始から8年を経て03年に誕生し、07年に農林水産省に品種登録された。「山田錦の兄弟米」との位置づけで、酒質は「山田錦」に比べてすっきりとした味わいになりやすいという。

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