優勝争いはプレミア勢の昌平が軸 これにS1勢が絡む展開か あす県大会が開幕

プレミアEASTで戦う優勝候補の昌平

 令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選は6月1日、高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2024 EAST昌平高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関東2部西武台をはじめ、関東大会予選ベスト8など46校が参加して幕を開ける。6月16日の決勝を制したチームが、インターハイ(7月27日~8月3日・福島県Jヴィレッジほか)に出場する。

 優勝争いの中心はプレミアリーグEAST暫定3位の昌平で、これに西武台正智深谷東京成徳大深谷聖望学園が絡む展開が予想される。聖望学園を除く4校は6月8日の3回戦から登場する。

 昌平はMF陣に才能豊かな逸材が居並ぶ。5点をマークしてプレミアリーグ得点ランク首位タイの長璃喜(2年)、4得点の三浦悠代(3年)をはじめ、主将の大谷湊斗(3年)や山口豪太(2年)らが緩急自在なドリブルで敵のマークをはがし、外から中から質の高い攻撃を仕掛ける。プレミアリーグ上位勢の中では消化数が1試合多いが、8試合で最多の18点を挙げている。

 守備陣もGK佐々木智太郎、CB坂本航大、SB上原悠都(以上3年)が8強に進んだ昨年度の全国高校選手権に出場。ボールを保持する時間が長いだけに、守備担当者の負担も軽い。不用意なボールロストからの速攻やセットプレーに細心の注意を払えば、失点のリスクは少ないだろう。

 昨季の西武台は2年生主体のチーム編成だっただけに、その面々の成長が組織力向上に直結。竹内奏海、鈴木洸晴(ともに3年)はいずれ劣らぬ得点力を誇るFWで、速さと強さも兼ね備える。右MF藤木浩人(3年)はチャンスメーク役を忠実にこなし、外から豪胆にアタックする。今年3月にU-17日本高校選抜入りした谷口輝、187センチの田中恒太(ともに3年)で編成するCBは堅ろうだ。

 2月の新人大会は武南とタイトルを分け合い、関東大会予選はプリンスリーグ参戦のため出場していないとあり、4大会ぶり9度目の優勝に照準を合わせる。

 関東大会予選で5度目の制覇を遂げた正智深谷は、昨季の県S1(1部)リーグを最少の9失点で制したように、今年のチームもCB佐藤飛友(3年)を軸に堅い守りを誇る。関東大会予選では複数のメンバーが得点し、特定の選手に頼らなかった。関東大会の優秀選手、左SB鹿倉颯太(3年)の左足キックは強烈で、ゴール前のFKは見ものだ。

 関東大会予選準優勝の東京成徳大深谷は、持ち味の長いキックとセットプレーを生かした攻撃のほか、ここにきて丹念にパスを通わせる戦法も試している。増田蹴人(3年)は門番ばかりか、セットプレーでは得点源となるDFだ。関東大会で2勝し、中盤の心臓部を務めるボランチ稲積俊音(3年)とFW関根大和(2年)が優秀選手に選ばれた。

 聖望学園は従来の速さとうまさに加え、馬力のある選手を前線にそろえ、高さの太仲貴哉、速さの増本怜音、フィジカルの強いファサン ダニエル(以上3年)は対戦相手には脅威の的だろう。左右のSBをこなすペイトン有玖主(3年)のスピード豊かな突破も大きな武器。最上位の県S1リーグで暫定首位に立ち、初優勝へ手応えをつかんでいるはずだ。

 武南は3冠(新人大会、関東大会と高校総体の両予選)を獲得した昨年に比べると戦力は見劣りし、S1でも暫定8位と低迷。組み合わせも厳しいブロックに入った。関東大会予選4強の立教新座は昨年度の全国高校選手権予選のメンバーが5人残り、攻撃陣をけん引するのが好素材のMF粟屋大智で、守りのリーダーが山下未紘(ともに3年)だ。

 浦和南は高校総体と全国高校選手権の両予選で準優勝した昨年ほどの強さはないが、野崎正治監督の策で実力以上のものを引き出す。掛谷羽空(3年)は注目のFW。現在S1リーグ暫定3位の武蔵越生は、CB原田彪雅(3年)が守備ラインを安定させ、高橋悠太(3年)や眞崎瀧星(2年)のFW陣が精力的にゴールを狙ってくる。

 今季S1に復帰し暫定5位の細田学園は、MF並木俊輔(3年)に配給力がある。S2に降格したものの、埼玉栄はMF嶋家礼人やFW加藤佳大(ともに3年)ら昨季の主力が6人健在だ。両校とも関東大会予選でベスト8入りしている。

 S1では9位と不調の市立浦和だが、FW田中悠真やMF高橋隼(ともに3年)ら、昨年の全国高校選手権予選準々決勝に先発した陣容が7人も残る。このほかS2Bで4位の狭山ヶ丘、S2Aで2位の埼玉平成と3位の浦和学院も力があるだけに上位進出の可能性を秘める。         

(文・写真=河野正)         

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