錦織圭が負傷で全仏オープン2回戦途中棄権!「ちょっと嫌な痛みが出始めたので止めることにしました」<SMASH>

現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」は現地5月30日に男子シングルス2回戦が行なわれ、ケガからの完全復活を目指す元世界ランク4位の錦織圭(現350位)が登場。第15シードのベン・シェルトン(アメリカ/同15位)に挑むも、第3セット開始直前に右肩の負傷による途中棄権を表明し、残念ながら3回戦進出を逃すこととなった。

今大会にはプロテクトランキング(負傷離脱前の順位でエントリーできる救済措置)48位を活用して参戦した錦織。21年の全米オープン以来約2年9カ月ぶりの四大大会復帰となった1回戦では、4時間22分に及ぶ死闘の末に予選勝者のガブリエル・ディアロ(カナダ/同166位)に7-5、7-6(3)、3-6、1-6、7-5で勝利し、苦しみながらも2回戦へと駒を進めていた。

シェルトンとのツアー初顔合わせとなった2回戦は、予定通り現地29日に開始したものの第1セット5-5となった時点で降雨中断となり、その後も天候が回復せず翌30日に順延。中断から約30時間後にようやく試合が再開された。

再開後は互いにサービスキープに成功しタイブレークに突入。ここでは錦織が途中3ポイントを連取するなど主導権を握り、5-2とリードを広げる。

その後シェルトンの猛反撃に遭い同点とされた錦織は、相手のミスで先にセットポイントを取得するも生かせず。すると今度は自身がストローク戦で立て続けにエラーを犯してセットポイントを握られる。最後はリターンがネットを越えず、6-7(7)で第1セットを落とした。

2セット目も錦織は流れを取り戻せず、第1ゲームでいきなりサービスダウン。第3ゲームでもシェルトンの強力なリターンに苦戦を強いられ2度目のブレークを許してしまう。シェルトンが回転系やキック、フラットといった様々な球種のサービスを混ぜてきたことによりリターンゲームでなかなかポイントを奪えずにいた錦織だったが、第8ゲームでは深いリターンを続けてブレークに成功する。

しかしシェルトンの2度目のサービング・フォー・ザ・セットとなった第10ゲームはブレークバックできず。4-6で第2セットを落とし、絶体絶命のピンチに立たされる。
ここで再び試合が雨により中断。約50分後にはプレーが再開することとなっていたが、中断の最中に錦織が右肩の痛みを理由として途中棄権を申し入れたため、2回戦敗退が決まった。

1回戦終了後から同箇所の負傷が報じられていた錦織は、リタイア後に応じたWOWOWのインタビューで棄権に至った経緯をこう説明している。

「試合前から少し肩の状態は心配だったのですが、今日さらに2セット目を戦ってみて、ちょっと嫌な痛みが出始めたので、(プレーを)止めることにしました」

試合内容については「ファーストサービスがなかなか入らずにセカンドサービスを叩かれた」ことや「アンフォーストエラーが出てしまった」ことが敗因になったとコメント。

それでも急遽参戦を決めた今大会は一定の手応えもつかめたといい、「得たものは大きかったです。シェルトンのようなレベルの(高い)相手にもしっかり戦えたので」と前向きな言葉を続けた。

最後には「ちょっと嫌な終わり方にはなりましたけど、最悪の状況に陥る前にプレーを辞める判断ができたとは思うので、これから(肩の状態を)チェックして様子を見たいと思います」と締めくくった錦織。やはり1回戦の死闘の代償は大きかったのだろう。またすぐにツアーに戻ってこられるよう、ひとまずは身体の回復に専念してほしい。

文●中村光佑

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