広島がEピースで発生した吊りバトン観客席落下の調査結果を報告。フラッグ掲出場所は変更、夏ごろ設置へ

サンフレッチェ広島は5月31日、エディオンピースウイング広島で発生したバトン落下の調査結果を報告した。

11日に行なわれたWEリーグ第20節のサンフレッチェ広島レジーナ対大宮アルディージャVENTUS(0-2)の試合中に、バックスタンドのフラッグを掲出するバトンが落下。中断などの進行への影響はなく、怪我人はいなかった。

これを受け、広島は12日から24日に調査。落下の経緯について、以下の通り報告した。

(1)上空約40mの位置の吊りバトンに掲揚したフラッグが、風に煽られてバトンに巻き付いた。ハーフタイム中にフラッグを直すため、興行主である当社の運営スタッフが、手元のリモコンを操作し、吊りバトンを電動式巻上機で最下部まで下降させた。

(2)フラッグを直した後、リモコンの上昇ボタンを押して電動式巻上機で吊りバトンを上昇させた際に、瞬間的に突風が吹き、吊りバトンが揺れながら上昇したと推定される。吊りバトンの揺れにより、ワイヤーに弛みが生じ、乱巻き(電動式巻上機でワイヤーをドラムで巻き上げる際にドラムに適切に巻かれていない状態)が発生した。

(3)ワイヤーが正常に巻かれなかったため、ドラムと連動して作動する制御スイッチが誤作動を起こし、吊りバトンが上限に到達した後も電動式巻上機が稼働し続け、過巻き(上限を超えてもワイヤーを巻き上げ続ける状態)が生じた。

(4)過巻き状態が継続したため、吊りバトン昇降装置に想定を上回る負荷がかかる状態となり、ワイヤーを巻いているドラムとモーターとの接続箇所が破断した。

(5)ワイヤーを巻いているドラムとモーターとの接続箇所が破断したため、ドラムとモーターの連動が失われ、ドラムはモーターで制御できない状態(空回りの状態)となった。これにより、ワイヤーが巻き上げられない状態となり、ワイヤーと吊りバトンの自重で吊りバトンが落下を始め、吊りバトンはスタンドの床面まで落下した。

(6)落下発生時にはワイヤーは破断しておらず、吊りバトンの落下に伴い、ワイヤーがすべて送り出され、落下時の衝撃でドラムに固定されたワイヤーの接続部に力が加わり、ワイヤーの端部が欠損したものと推定される。

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また、落下の原因については、以下のとおり。

(1)吊りバトン昇降装置に影響が生じる可能性のある突風が同装置の稼働中に発生した。

(2)乱巻きの原因となった突風を把握するための風速計等が現地に設置されていなかったため、運営スタッフが風速状況を把握できなかった。

(3)乱巻きおよび過巻きが生じた場合に、モーターの駆動を停止する機構を備えていなかった。

(4)ドラムとモーターを接続する箇所の強度が、想定を上回る負荷に対して不足していた。

そして、吊りバトンと残存しているモーターなどの装置を撤去し、フラッグの掲出場所は観客席の上ではない場所に変更するという。「設置時期については2024年夏頃となる見込みです。それまでは、施設利用者と協議のうえ暫定的なフラッグ掲出となります」とコメントした。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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