大谷翔平に被弾後”暴発”投手に同情の声「彼は人間」 背景に難病の息子と厳しすぎる性格か

メッツのホルヘ・ロペス(ロイター=USA TODAY Sports)

試合中の暴言で退場処分となり、メッツから急きょ戦力外となったホルヘ・ロペス投手(31)に同情の目が向けられ始めている。

ロペスは29日(日本時間30日)のドジャース戦で大谷に14号2ランを浴びた後、スイングの判定を巡って三塁塁審に激高。審判への暴言で退場を言い渡され、自身のグラブを一塁側のスタンドに放り投げる驚きの行動に出た。事態を重く見た球団側は即座にペナルティーを科した格好だが、そもそもなぜロペスは突然、制御不能に陥ってしまったのか。

その要因の一つとして米メディアの間で伝えられたのは、ロペスの息子・ミカエル君(11)の存在だ。ミカエル君は難病の「家族性地中海熱」という自己免疫疾患を患い、複数回の移植が必要な状態で球場に来ることもままならないという。そして退場となった日はミカエル君の誕生日でもあった。

米ヤフースポーツでは「中継ぎホルヘ・ロペスはメッツと自分自身に恥をかかせたが、彼の状況は軽蔑ではなく、共感に値する」と題して報道。そして「ロペスの周囲にいた人たちは、当然のことながら、息子の健康問題が彼の肩に重くのしかかっているという。彼の元チームメート、メディア関係者、フロントオフィスの人々など長年にわたってロペスと関わってきた人々は、ロペスのことを心優しく、過度に自己批判的で、常に自分自身と戦っている人物像として描いている。彼の妄言は恥ずかしく、彼の反応は不快なほど生々しく、誤解された。言い換えると、彼は人間なのだ」とした。

また「野球には基準がある。ロペスはそれに合わない行動をし、自分自身、チームメート、そしてチームに恥をかかせた。何千人もの投手がこのようなプロらしくない行動を抑えながら、マウンド上で奮闘してきた」と退場につながる行為そのものは批判しながらも「試合後の彼のコメントは慈悲、状況(理解)、そして共感に値する」と理解を示した。

ロペスは退場となった試合後のインタビューで、解釈を巡って情報が錯そうしたが「後悔はしていない。MLB全体で自分が最悪のチームメートに見えると思う」との趣旨のコメントを残したという。また、取材を受ける前のロッカールームで涙を流していたとの報道もある。

また、同メディアでは球団関係者の話として「ボルチモアでロペスと十分な時間を過ごした人々は彼を心から慕い、彼を陽気でユニークな程心優しい人物だと評した。(オールスターにも選ばれた)2022年にトレードし、ロペスがツインズやマーリンズで振るわなかったにもかかわらず、オリオールズは23年にロペスと再契約。以前のパフォーマンスが戻ることはなかったが、それでも23年のオリオールズで一緒だった者たちは、ロペスについて良いことしか言うことがないと話す」と紹介。さらには、ツインズ時代に「ロペスは以前『困難な登板の際にネガティブな感情やフラストレーションをコントロールできないことがある』と話しており、今後もセラピスト(カウンセリング)を受け続けると述べた」と報じられたことにも言及した。

息子が置かれた状況に加え、自分に厳しい性格などが重なって暴発してしまったのか…。いずれにせよ、ルールから逸脱した行動でさまざまなものを失ったことは間違いない。

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