【5/31は世界禁煙デー】「喫煙者の把握」も総務の仕事!? 他部署が知らない「この時期、総務がやっている業務」

(※写真はイメージです/PIXTA)

“会社の事務業務のすべて”を取り扱う部門、「総務部」。他部門から「何でも屋」と認識されることもある一方で、どんな仕事をする部署か?と改めて問われると、パッと答えられる人は多くありません。本稿では、下條一郎氏の著書『図解でわかる 総務部員の基礎知識』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、5月~7月の活動を紹介します。具体的な活動内容を知れば、「そんなことまでやっているのか」と驚くのではないでしょうか。

「会社の禁煙対策」も総務の仕事

■社員の喫煙状況を定期的に把握し、対策を打つ

2012年以降に生まれたZ世代はもちろん、2000年以降に成人になったミレニアル世代の人もかつての職場にはタバコ用灰皿が置かれていたことが信じられないことと思います。

昭和から平成初めにかけてはオフィスでも会議室でも、また役所や銀行の窓口カウンターの奥ではタバコを吸いながら業務を執る男性職員の姿が一般的に見られていたものです。

それが喫煙と健康の問題が議論される風潮の中、高齢化社会が必至の日本において国民の健康を増進して健やかな社会生活を送れることを目的として2003年5月に「健康増進法」(厚生労働省所管)が施行されました。同法に「受動喫煙防止」の章が設けられたことで、にわかにオフィス内をはじめ不特定多数の人が集まる施設や交通機関等での喫煙が制限され、同法施行時に成人男性の半数近くいた喫煙者が令和に入る頃には3割弱へと減少していますが、健康経営が叫ばれる現在において4人に1人が喫煙者という事実を無視することはできません。

現在のオフィス環境は禁煙を前提に喫煙場所が設けられたりはしていますが、その措置に安心せず、総務では社員の喫煙状況を定期的に把握し、1人でも多くの禁煙者を増やす活動を推進します。施策の1つとしては定期健康診断時の禁煙指導などがありますが、禁煙への取り組みに金銭的支援を行ったり、会社の方針として禁煙宣言を行うなども有効です。企業によっては喫煙者の採用を行わないところもあることなどを啓蒙するのもよいかもしれません。

[図表1]5月の主な業務 出所:下條一郎著『図解でわかる 総務部員の基礎知識』(日本能率協会マネジメントセンター)

7月に向けて福利厚生施設の点検・整備

■保養所や社員食堂、体育館等の社有施設の確認

福利厚生施設の点検・整備は定期的に実施するものですが、特にこの時期は7月から利用が本格化する保養所等を中心に行い、必要に応じて修繕・整備を済ませておきます。

施設・設備・備品等の一覧を作成し、建物や内部の壁・床・扉など傷んでいるところはないか、電気や給排水等、各室内やバス・トイレ、あるいは食堂の設備に問題はないか、備品は揃っているか、空調機の状態はどうかといったように、点検項目を1つひとつチェックして、修繕や買い換えの必要があれば早急に手配します。

こうした点検と同時に利用の受付準備も進めます。社内の各部門に保養施設の案内を通知し、希望者は個々に総務に申し込んでもらうようにします。同じ日に利用希望が重なると調整が必要になるので、利用受付は早めに行っておきます。

社内にある社員食堂についても設備の点検を実施します。特に、夏季は他のシーズン以上に衛生管理に注意を払う必要があり、設備や備品の点検と同時に調理過程の確認なども行います。

また、保養所や社内で食堂業務に携わる人たちを全員集めて、衛生管理に対する意識をいっそう高めてもらうように注意を促すことも大切です。

そのほか、夏の期間中、体育館やグラウンド等の施設を地域にも開放するならば、施設や用具の点検とともに、安全に利用してもらうための「利用上の注意事項」を作成して、利用者に供します。

[図表2]6月の主な業務 出所:下條一郎著『図解でわかる 総務部員の基礎知識』(日本能率協会マネジメントセンター)

職場の安全対策・環境整備

■「安全週間キャンペーン」の実施も総務の仕事

7月1日から産業災害・交通事故・火災などの災害防止をはかる「全国安全週間」が始まります。それに伴って社内でも「安全週間キャンペーン」を実施して、労働災害を防ぐための安全管理を徹底します。

工場などでは事故や災害の防止対策が練られ、日々安全に留意しています。

その一方で事務所などでは安全意識は低くなりがちですが、建物の構造や設備などが原因で事故が発生しないとは限りません。そこで、防火・防犯対策も含めて全社的に安全管理の方針を見直し、その対策を進めていく必要があります。

特定の事業や一定規模以上の企業には労働安全衛生法に基づいて事業場の安全全般を管理する「安全管理者」の設置が義務づけられ、各職場には「防火責任者」を選任しなければなりません。

職場の安全対策は法律で基準や規則が定められている以外は、各職場で働く人の声を反映させながら進めます。そこで「安全委員会」などを設置して、社内から設備改善への要望や環境整備に対する意見を自由に出してもらいます。その要望や提案をもとに委員会で調査・協議・検討を行い、必要な整備を進めていきます。

1人ひとりの参画意識を促すことが職場の安全対策とその環境整備の大きな推進力となります。委員会ではいつでも社員の要望などを受けられる態勢にしておきますが、職場の安全上、注意すべき事柄については文書通達や社内掲示で全社員に徹底を図ります。

[図表3]7月の主な業務 出所:下條一郎著『図解でわかる 総務部員の基礎知識』(日本能率協会マネジメントセンター)

下條 一郎

元「月刊総務」代表兼編集長。東京都立九段高校、立命館大学文学部卒業後、株式会社池田書店入社。同社で書籍や雑誌の編集等を経た後「月刊総務」の出版権を引き継ぎ独立、株式会社現代経営研究会を創業。同誌を日本唯一の総務専門誌に育て上げる。同誌発行の傍ら、総務実務等のセミナー講師、経営やビジネス実務に関する勉強会を主宰。上場企業経営者をはじめ著名作家、大学教授、メディア関係者等多彩な人的ネットワークを持つ。総務およびビジネスマナー等ビジネス実務に関する書籍を多数執筆。

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