6月が見ごろ「レンゲツツジ」絶景の山 駐車場から30分で山頂、登山デビューにも最適!

緑の絨毯に敷かれた遊歩道で山頂を目指そう(撮影:河野美花)

山梨県韮崎市(にらさきし)に位置する甘利山(あまりやま)は、豊かな生態系の保全を進めるエリアとして、南アルプスユネスコパークにも登録されている山梨百名山のひとつである。

駐車場から30分ほどで登頂できる山でありながら、標高1,731mの山頂からは御坂山地(みさかさんち)越しの富士山の姿が見えるほか、甲府盆地を囲む山々の絶景を楽しめる。登山ビギナー、ファミリーハイクにも最適な山だ。

一方、あっという間の登頂に物足りなさを感じる登山経験者は、甘利山の先、奥甘利山(おくあまりやま)や千頭星山(せんとうぼしやま)を目指そう。6月はレンゲツツジが咲き誇り、甘利山はベストシーズンを迎える。

■甘利山登山コースマップ

甘利山広河原駐車場から時計回りに山頂を目指す周回コース(国土地理院地図より引用)

甘利山登山のスタート地点となるのは、約80台分の無料駐車スペースを備えた「甘利山広河原(ひろがわら)駐車場」。

駐車場から時計回りに、展望の開ける「鍋頭(なべあたま)」を経て、山頂へ向かうルートだ。なお、登山道にはそこかしこに咲くレンゲツツジの植生を傷めないよう、歩きやすい木道が備わっている。

鮮やかな花々や、青々と茂った熊笹の間を抜けて、山頂を目指そう。山頂では富士山と甲府盆地の絶景を堪能できる。満喫したら、キャンプ場のある甘利山グリーンロッジ方面へ。舗装路に出たら、スタート地点の駐車場までもう少しだ。

●甘利山広河原駐車場〜甘利山山頂

まず、甘利山広河原駐車場までのアクセスについて。中央自動車道・韮崎ICから、県道27号、613号などを経由し約18㎞、30分ほどで駐車場に到着する。カーブの多い山道の走行が中心となるので、安全運転を心がけよう。ハイシーズンとなる6月頃の週末には約80台の駐車場が満車になることもあるので、可能であればウィークデーでの計画を推奨する。

なお、マイカー利用の登山者にとってはアクセスもよく、登りやすい山だが、公共交通機関で甘利山を目指すとなると、最寄りのバス停から登山口まで長距離の舗装路歩きが必要になる。

駐車場で準備を整え出発しよう。登山口には木の枝で手作りされたウォーキングポールが備えられているので、ぜひ活用しよう。帰りには元の場所に戻すことを忘れずに。

歩き始めは階段が続くが、すぐに稜線に出て、韮崎市街地や甲府の山々が見渡せる。しばらくすると豊かな植生を守るために備えられた保護柵と、木道が出現する。保護柵には、「ハクサンフウロ」や「キンミズヒキ」といった花の説明書きが付けられているので、花の名前を学びながら歩くことができる。

南アルプスに属する甘利山は、自然公園特別地域に制定されている
甘利山コースには、レンゲツツジの鑑賞スポットが数多く存在する

登山開始から間もなく、二股に分岐するが、約10分ほどで合流するので好きな方を選ぶとよい。右手に進むと、より緑の茂る森林エリアへ。左手は草原地帯で、途中休憩ポイントの東屋があるのが特徴だ。

分岐から合流すると、レンゲツツジの花畑が始まり、あっという間に山頂だ。お馴染みの「山梨百名山」の標柱も。

●甘利山〜奥甘利山〜千頭星山

甘利山だけでは物足りない登山者向けに、奥甘利山と千頭星山(せんとうぼしやま)を目指すコースを紹介しよう。

目指す千頭星山の標高は2,139mあり、甘利山山頂からさらに400mほど標高を稼ぐ必要がある。ただ、その登山道は熊笹に囲まれていたり、草原のようになっていたりと、変化に富んでいて楽しい。

また、ところどころで富士山が姿を見せてくれるので、飽きることなく歩けるはずだ。甘利山から千頭星山までは、片道およそ1時間20分の道のりだ。

なだらかで歩きやすく気持ちのよい草原エリアが広がる千頭星山山頂の手前

●甘利山〜分岐点〜甘利山広河原駐車場

甘利山山頂でツツジの群生や甲府盆地の景色を堪能したら、下山しよう。来た道を引き返すのではなく、新しい道を進んで下山できるのも、周回コースが取れる甘利山のよいところ。下山路はなだらかな下りが続くので、危険箇所は少ない。ほどなくして舗装路に出るので、右手に折れて進むとスタート地点の広河原駐車場に到着し、ゴールだ。

駐車場手前には、宿泊可能な「甘利山グリーンロッジ」とキャンプサイト「雲の上のキャンプ場」があるので、1泊の計画で甘利山からの夜景や日の出を楽しむのもよさそうだ。

●山行ルート&タイム

甘利山広河原駐車場(登山口)(25分)〜鍋頭(5分)〜甘利山山頂(20分)〜分岐点(10分)〜甘利山広河原駐車場(登山口)

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