電気自動車、いったいどれだけ走る? アウディ「Q8 Sportback e-tron 55 quattro S-line 」を調べてみた

徐々に普及してきているEV(電気自動車)だが、いまなお実際の一充電航続距離が気になるICE(エンジンを搭載車)のオーナーは少なくないはず。 『BRUDER×EV』では、特に走行距離と充電に的を絞り検証。今回はアウディの電気自動車、e-tronから昨年のマイナーチェンジを機にネーミングが刷新された「Q8 スポーツバック55e-tron」をテストする。

今回試乗した車両を見たときに、スポーツバック特有のキュッと引き締まったボディ後半のデザインと相まって、とてもスタイリッシュな印象を受けた。

テストドライブを開始時のバッテリー容量は100%、メーター内に表示されている走行可能距離はちょうど400kmだった。エアコンの使用や直近の走行パターンを含めた演算も関係してくるので、実際の走行距離がWLTCモードのデータ(501km)より2割ほど少なくなるのはよくあるパターンといえる。今回のテストコースもこれまでと同じ。都内をスタートし茨城県鉾田市にある「ザ・ロイヤルゴルフクラブ」を往復する256kmの行程である。

都心で乗り込み走り出すと、EVならではの静けさに感心させられた。首都高速に乗るまでの市街地で感じたのは2モーターによる4輪駆動の滑らかな加減速、そして思いのほか取り回しがいいことだった。このサイズ感で最小回転半径が5.7mというのはけっこう優秀だと思う。

一方、首都高速から東関東自動車道での高速道路走行では標準装備となるアダプティブのエアサスペンションによるフラットな乗り心地が気に入った。床下のバッテリーも車体の上下動の抑え込みに貢献しているはずだ。EVならではの走行フィールとアダプティブクルーズコントロールの相性も良く、往復256kmのドライブをストレスなく楽しむことができた。

バッテリー消費は往路で30%、復路では28%だった。往復では58%の消費となるので、今回バッテリー1%で走行した距離は約4.4km。100%の消費で440kmを走行できる計算になるので、実際の一充電走行距離はWLTCの数値(501km)に近づくことになる。もちろんそこには晴天の昼間で、エアコンの設定も標準、ゆったりめの走行ペースといった条件も有利に働いたはずだが、これは安心材料といえるだろう。

今回の移動距離では途中充電は必要なかったが、テストを兼ねていくつかの充電施設に立ち寄ってみた。東関東自動車道の酒々井SA下りには40kWの急速充電器(EV QUICK CHARGE) があり、1回(30分)で19%(約84km走行相当)を充電できた。また常磐道の友部SA上りの90kWの急速充電器(eMOBILTY POWER)では34%(150km走行相当)回復を確認。特に常磐道は充電施設が充実してきている印象で、6台の急速充電器が完備されていた。

一方、紀尾井町に今年4月オープンしたアウディの充電施設「アウディチャージングハブ紀尾井町」でも150kWの急速充電を体験し、37%(約163km走行相当)の充電を行うことができた。充電能力は最大150kWなので、その性能を享受することができたかたちになる。 今回のテストドライブでは、EVとしての完成度の高さと、安心してゴルフのアシとして使用できる走行距離が確保されていることを確認できた。

アウディ Q8スポーツバック 55 e-tron クワトロSライン 車両本体価格: 1317万円(税込)

  • バッテリー容量 | 114 kWh
  • 一充電最大走行可能距離 | 501 km(WLTCモード)
  • バッテリー100 % 時表示距離 | 400 km(今回テスト時) ※2
  • 256 Km 走行時の電力消費量 | 58 %
  • 今回のテストでの電力消費量 | 4.4 km / % ※1
  • eMOBILITY POWER(30分) | 34 %(走行距離:119 km 分)※2
  • EV QUICK CHARG(30分) | 19 %(走行距離:83.3 km 分)※2
  • 0-100% 充電時間(6 kw / h) | 約19 時間
  • 0-100% 充電時間(3 kw / h) | 約38 時間
  • ※1: km/%はAudi Q8 Sportback e-tron 55 quattro S-lineのバッテリー容量1%当たりの走行距離で、こちらの数値によって他車との比較が可能になります
  • ※2:直近の走行パターンも含めた演算になります。参考データとしてお考え下さい

Text : Takuo Yoshida

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