あとを絶たない「ながら運転」死亡重傷事故は過去最多 減らない原因は「スマホ依存症」と専門家が指摘

テレビ愛知

2023年1年間に全国で発生した「ながら運転」による死亡重傷事故は122件と過去最多を記録しています。あとを絶たない「ながら運転」。なぜ減らないのか、自動車評論の国沢光宏さんに話を聞きました。

「ながら運転」厳罰化もあとを絶たず

携帯電話を手に持ち、通話したり操作しながら車を運転する、いわゆる「ながら運転」は、2019年12月に改正道路交通法が施行され、厳罰化されました。

運転中に携帯電話を手に持って使用した場合の違反点数は1点から3点に。反則金は、例えば普通車の場合は、6000円から1万8000円に引き上げられるなど、厳罰化されています。しかし、ながら運転による死亡重傷事故はあとを絶ちません。「ながら運転」は、なぜ減らないのでしょうか?

「ながら運転」が減らない理由は「スマホ依存症」 専門家が指摘

2023年、ネクスコ中日本が公開した高速道路の映像。交通規制をしているところに、トラックがスピードを落とさずに突っ込んできました。慌てて車線変更したり、規制材をなぎ倒したり、これらの原因の一つとして考えられているのが、携帯電話などを操作しながら運転する、いわゆる「ながら運転」です。

ながら運転は一般道でも。

記者:
「信号待ちで、スマートフォンを見ている男性がいますね。今、動きだしたんですが、まだスマホを操作しています。あちらの女性も片手で運転しながら、左手に持ったスマートフォンを見ています」

なぜ、こうした「ながら運転」が減らないのか、専門家に話を聞きました。

自動車評論家 国沢光宏さん:
「携帯電話の依存症によるものだと言われています。道歩きながらスマホを見ている人もいますよね。食事しながら見ている人もいるし。信号待ちでちょっと暇があると、携帯を見たくなってしまう。SNSをチェックしたくなってしまうと。そういう人たちが非常に増えたということです」

「ながら運転」減らす方策 専門家の見解は

民間の調査会社がスマートフォンを所有する15歳から59歳の男女559人を対象に行ったアンケートによると、スマホに「かなり依存している」、「やや依存している」と回答した人が、全体の約7割にのぼっています。

信号待ちなどで完全に停止し、スマホを操作するのは違反にはなりませんが、少しでも車を走らせると「ながら運転」に。

たとえわずかな時間でも、目を離すことには大きな危険が伴うと、専門家は警鐘を鳴らします。

国沢さん
「(車は時速)50キロで走っている時に、1秒で13メートルぐらい移動します。1秒目を離せば、もう13メートル先に行っているので、その間に人が出てきたり、前の車が割り込んできたら、確実にぶつかりますよね」

車は、時速40キロで走っていた場合、2秒で約22メートル。時速60キロでは約33メートルも進みます。この間に何か起きても、目を離していれば対処することができないのです。

厳罰化でも減らない「ながら運転」。ほかに対策はあるのでしょうか?

国沢さん:
「中国みたいに監視カメラをいっぱいつけて、積極的にながら運転している人を検挙するという方法もあると思います」

確かに、中国の主要道路を見てみると、防犯カメラがあちらこちらに。中国では交差点ごとに複数の防犯カメラが設置されていて、専門家は防犯カメラの映像が「ながら運転」の検挙にも役立てられていると言います。

一方で、日本ではプライバシー保護の観点などから、中国ほど設置されていません。「ながら運転」の検挙も「現行犯」で行われるのが通常です。では、ながら運転を減らすため、我々はどうすべきなのでしょうか?

国沢さん:
「厳罰化されても、スマホ依存症の方が強いと思うんですね。できれば車に乗る時は、携帯は手が届かない奥のほうにしまっておくのが良いと思います。ながら運転をすると、追突事故を起こしたり、死亡事故になることもあります。一瞬の楽しさが色んなものを奪ってしまう。是非ともながら運転はやめていただきたいです」

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