静岡県・新知事の初会見で浮き彫りになった川勝前知事会見の“異常さ”、関係者「まずは安心」

鈴木康友知事(写真・時事通信)

5月26日の静岡県知事選で初当選した鈴木康友知事が29日、就任記者会見をおこなった。「オール静岡で幸福度日本一の静岡県を作っていくという目標に向け、これから様々な取り組みをしていきたい」と県政への抱負を述べたが、注目を集めたのは、リニア中央新幹線への対応だ。

鈴木知事は「これからレクを受けて全容を把握する」と前置きした上で、

「県・国・JR東海・流域市町の連携のもとに、ひとつひとつの課題をクリアしていくことが大事。まずはその体制作り、各主体とのコミュニケーションを取っていく。JR東海の社長や国交省とも早くお会いして、コミュニケーションを取っていきたい」

と述べ、リニアの問題解決に向けて前向きな姿勢を示した。

川勝平太・前知事が頑として認めずストップしているボーリング調査についての姿勢を問われると

「私自身は、調査はやるべきだと思う。調査なくして前には進めない。詳しい調査内容などについては、これからうかがっていくが、一般論としては、調査は進めていくべきだと思っている」

と、調査を進めるべきだとの見解を述べた。また、着工にゴーサインを出す判断について問われると、

「課題について解決案が示され、不安がある程度解消されることが必要。そうは言っても、最後はどこかで政治的決断も必要かと思う」

との考えを述べた。

「新知事の会見をみた印象は、とにかく前任の川勝知事との違いです。川勝氏は記者からの質問に対し、言葉数だけは多いもののまともに答えようとはせず、ほとんど質疑応答の体をなしていませんでした。対して鈴木氏は、記者からの質問に対し、明確に答えており、非常にわかりやすいものでした。質疑が噛み合っている。これが当たり前で、これまでが“異常”だったわけですが。

リニアに関しても、工事に必要不可欠なボーリング調査を進めると明言し、議論を尽くしたうえで『政治的判断も必要』と話しています。非現実的なゼロリスクを要求し、延々とゴールポストを動かした川勝氏とは違い、現実的にものを考えられる方だという印象を持ちました」(週刊誌記者)

JR東海の関係者はこう語る。

「リニア反対派ではないかとの一部報道もありましたが、会見では至極真っ当なことを仰っており、まずは安心しました。また、選挙戦で語っていた医学部誘致構想を『ハードルが高い』と早々に撤回されましたが、かなり現実路線で柔軟な考えをされる方だという印象です。前任の知事のように“メンツにこだわる”方ではない」

6月7日には、リニア沿線の自治体による期成同盟会の総会に出席予定だという鈴木知事。その席で何が語られるかにも、注目が集まる。

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