札幌の道立高校で男性教師が障害のある生徒に診断されていない病名をつけ教師間で共有していた問題。道教委が設置した第三者委員会はこの教師の行為を不適切だったとする調査結果を発表しました。
大崎康二弁護士)
「内部文書における診断歴のない血管性認知症の病名の記載、また保護者の同意なき心理検査の実施など対応上の問題がある」。
弁護士らによる第三者委員会が31日公表した調査報告書。男性教師の様々な不適切行為が明らかになりました。
「この子は血管性認知症という決定的な病気を持ってしまっている。この子は寿命は短い。短いのにここで時間食っていいのかな」。
札幌の定時制道立高校の特別支援担当の教師が知的障害などがある生徒に対し、医師が診断していない「血管性認知症」という病名を勝手につけていた問題。この教師はさらに、生徒に対して日常生活での適応能力を評価する検査を保護者に無断で行っていました。
「医学的にも心理学的にもこの子はうちの学校では無理です。本当に時間の無駄」。
それだけではありません。公表された調査報告書によりますと、男性教師はこの生徒の中学時代の教師から引き継いだ障害の特性などが書かれた資料を独断で廃棄していたということです。この資料は保管しなければならない公文書にあたります。また、5段階評価の成績を「1」にするよう教科担任に強く指導していたことも新たに分かりました。
20年以上のキャリアがあるという男性教師。一体なぜ、このようなことをしたのでしょうか。
大崎康二弁護士)
「聴取の内容についてはお答えすることはできません。聴取で語られた内容が果たしてどこまで信用できるのかという問題がある」。
客観性を重視した調査だとして理由を明らかにしなかった第三者委員会。道教委はこの教師の処分を今後検討するとしています。
北海道教育庁高校教育課 高田安利課長)
「当該校だけではなく他の学校に対しても、こういうことが二度と起こらないように全道の高校に周知徹底をしていきたいという風に考えております」。
HTBの取材に対し、生徒の保護者は「このような事態になった核心の部分ははっきりしなかった。男性教師にはこれまでの極めて悪質な行動に対して、しっかり責任をとってもらいたい」とコメントしています。