厚切りジェイソン「人生のすべては運」、運を最大限利用するための心構えとは?

厚切りジェイソン 撮影/イシワタフミアキ

IT企業で仕事をするかたわらで始めた「お笑い」の世界でも人気を博し、芸歴が10年に突入した厚切りジェイソン。さらに、独自の節約術などお金に対する考え方が評判を呼び、2021年には書籍『ジェイソン流お金の増やし方』を発売。多方面に渡って活躍する彼の 「THE CHANGE」とは?【第1回/全2回】

僕は元々、お笑いをやるつもりはなかったんです。事務所の先輩だったお笑いコンビ『ザブングル』のライブを観て、それから『ザブングル』との付き合いが始まって。それでお笑いに興味を持つようになって、やってみようかなって思ったんです。

でも、『ザブングル』の加藤(歩)さんからは「絶対、やめなよ。大変だから成功するわけねぇよ」って言われたんです。当時はすでにIT企業でも仕事をやっていたから、週末だけできるようだったら、会社を辞める必要もないし、リスクや損もないからやってみようって思ったんです。そこでワタナベコメディスクールに入ったんですよね。

その翌年に芸能人としてのキャリアがスタートし、今年の8月で10年目を迎えます。初めは養成所に通ってみるだけのつもりだった。趣味の延長で始めた養成所が終わったら、次の週末が空くだけだから、とりあえずひとつの人生経験として芸人もやってみよう……ぐらいで、ガッツリやろうとはちょっぴりとも思っていなかった。成功するとも思っていなかった。その結果10年たってしまった……というか、毎年毎年、今年は最後だろうなって思いながらやっていたら、記録を更新するという10年だったんですね。

その記録を更新できたのは、やっぱり運が大きかったと思う。僕は人生のすべてが運だと思っているんです。その運が降りてくるまでは、下準備をしておいて、成功する可能性を最大限まで高めておいて、その機会が来たときに、それを思う存分目指して頑張るということだけを続けてきただけなんです。

ただ、10年間というのは厳密に言うと、ちょっと違うんです。芸人として活動していたのは最初の3年ぐらい。というのも、その3年でやった“漢字ネタ”も尽きてしまって。もちろん、新しいネタ探しはしましたよ。でも、常用漢字以外でネタを作っても、誰も知らないからウケない。だから、漢字ネタ以外でも考えましたよ。たとえば、和食にバターをぶち込み過ぎるとか。でも、それやっても場がシーンとなるだけでね、面白くないでしょ(苦笑)。

声を掛けられるときは『えいごであそぼwith Orton』の「ジェイソン博士」のほうが多い

「Why Japanese People!?」というツッコミを入れるコントのお陰で2年連続『R-1グランプリ』にも出られるほど認知されるようになったけど、今でも街中で声を掛けられるときに言われるのは、そのツッコミじゃなくて英語教育番組『えいごであそぼwith Orton』のジェイソン博士のほうが多いんです。7年間やり続けてきたということもあって、パパママ世代から子供たちまで幅広く受けて、今でも言われることはうれしいですよ。

映画『コンフィデンスマンJP』に俳優として出させてもらったときは家族もすごく喜んでくれて、ひとつの達成感を感じましたね。そんなことも含めていろんな活動の中で本も出させてもらいました。その一つが21年に出した『ジェイソン流お金の増やし方』でした。そこでの読者の反響の中に「投資したくても、そもそも収入が足りてない。どうやったら増やせるんですか」って声があって、それに答える形で、今回『ジェイソン流お金の稼ぎ方』を出しました。

この中で、僕は“供給と需要”という経済学的なことを書いたつもりだったけど、読者の中には自己啓発という人生の指南書みたいに捉える人が多いみたいですね。今の収入に不満を持っている人に向けて書いたつもりだったけど、結果的にはこれから新社会人になる人が後にキャリアを持つタイミングでどういうことをやっておけば、あとで責任のある仕事を任せられるか、出世できるようになれるかという風に捉えた読者が多かったみたいです。だから、40代の読者の声には学生時代に読みたかったという声も少なくないです。

厚切りジェイソン(あつぎり・じぇいそん)
1986年アメリカ ミシガン州生まれ。17歳でミシガン州立大学に飛び級で入学。卒業後、イリノイ大学大学院に進み、修士課程を修了。現在もテラスカイグループの役員も務めており、そのかたわら挑戦したお笑いでも人気を博す。さらに、独自の節約術などお金に対する考え方が評判を呼ぶ。2021年11月に発売した『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)が電子書籍を含んで70万部を突破し、「第15回 オリコン上半期“本”ランキング 上半期BOOKランキング 2022」では堂々の1位を獲得する。その続刊『ジェイソン流お金の稼ぎ方』(同)も8万部超のヒット作となる。

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