厄除けに縁結びも! 東京23区内の開運スポットめぐり【後編】

前編に引き続き、東京都内の開運スポット巡り・後編です。

前回は港区・愛宕神社の「出世の階段」、湯島にある美髪・厄除けの御利益がある「柳の井」、文京区の縁起のいい名前の坂「開運坂」の3カ所を巡りました。

後編となる今回は、足立区北千住にある「厄除地蔵尊」と、板橋駅前にあるシンボルツリー「むすびのけやき」を訪れてみたいと思います。

千宝山 新橋霊場地蔵堂【千住】

足立区千住大川町、足立区立千寿双葉小学校の隣には、厄除けのお地蔵様がいるとのこと。

画像検索で調べてみると、歴史を感じる広めのお堂の写真がいくつか見られました。屋根には大きな卍(日本では仏教や寺院を示す記号)が掲げられています。

この地蔵堂、近くにある寺院・源信寺の管轄なのだろうかと思ったら、どうやらそうではない模様。

気になるので見に行ってみることにしました。

北千住駅西口を出て、ミルディス通りを荒川方面に直進。

駅から少し離れると、古い建物がそのまま残っており、素敵な雰囲気をかもし出しています。

歩いている途中に通りがかった寺院・長円寺で、目の病気を治してくれる「めやみ地蔵尊」なるお地蔵様を発見しました。

道路に面して作られたお堂の脇を囲むように「めめ」と描かれた絵馬がたくさん並んでいる、不思議な空間です。

千住五丁目の横断歩道橋を渡って少し歩くと、地蔵堂が見えてきました。

お堂の横に「千宝山 新橋霊場地蔵堂」と書かれた石柱が立てられています。

ここでいう新橋は、港区新橋ではなく、近くの千住新橋からきているのでしょうか。

あくまで噂の一つですが、お隣の千寿双葉小学校が火災にあった時、土地の整理をしていて土の中から出てきたお地蔵様を火除け地蔵として祀ったことが、この地蔵堂の始まりだったそう。

複数のお地蔵様がいるこの地蔵堂には、最初に祀られた火除け地蔵に次いで、子育て地蔵、厄除け地蔵が祀られていったと言われています。

そしてこの地蔵堂は「千住厄除地蔵講」が管理しているようです。

詳細が不明でミステリアスなスポットですが、さまざまなお地蔵様が一堂に介している場所なのだと思うと、贅沢というか、有り難みが増す気がします。

むすびのけやき【板橋】

以前ご紹介した、関東最恐と名高い板橋区の縁切りスポット縁切り榎

縁切り榎で悪縁を断った後に訪れるのが良いと区の公式ホームページにも掲載されている開運スポットが、板橋駅前の「むすびのけやき」です。

板橋駅の西口を出てすぐ、喫煙所の脇にあります。

「むすびのけやき」は、2002年に地元商店街と区役所が協力して名付けた比較的新しい開運スポットだそう。

板橋区の区の木にも指定されているケヤキ。

樹木でありながら「幸運」「健康」「長寿」といった花言葉を持っていたり、寿命が長いことから縁起のいい木として知られ、強く硬い特性から木材としてもよく利用されてきました。

「むすびのけやき」を前にして、縁切り・縁結びについて改めて調べてみることにしました。

縁結びで一番有名なのは、やはり島根の出雲大社でしょうか。

縁切りで「日本三大縁切り稲荷」として名高いのは、栃木の門田稲荷神社、京都の伏見稲荷大社、東京の榎木稲荷神社(縁切り榎)と噂されています。

縁結びと縁切りはセットで行うのが本来の形で、まず縁切りスポットで悪縁を断ってから、このさき良縁に恵まれるようにと縁結びの御利益がある場所で祈るのがいいそう。

縁切りも縁結びも、男女の縁だけではなく、あらゆる悪しきつながりを断ち切り、あらゆる善き出会いを祈願するものとして、時代を問わず人々に寄り添ってきた信仰なのだと感じました。

調査を終えて

前後編に分けて5カ所を紹介した東京都内の開運スポット巡り、いかがでしたでしょうか。

2022年7月から続いてきたこの【週末民話研究】も、今回をもって最終回です。

時代を超え世代を超え、嘘か本当なのかわからない話が伝わり、信仰になったり、土地の歴史を知る手段となる話になったり、後世へ伝えたい教訓話になったりと、連載を続ける中で「人と人が繋ぐ力」に驚かされ、圧倒され、たまに感動したりしながら書き進めてきました。

これまで紹介した民話や昔話には、怖いものや悲しい結末のものもありますが、どこかに必ず、その時を生きた人間のぬくもりがあったと感じています。

この連載で感じていた、遥か昔に生きた顔も知らない誰かのあたたかさが、今を生きる誰かの心を時に面白おかしく、時に導くように照らしてくれることを願っています。

取材・文・撮影=望月柚花

【参考サイト】
・板橋区公式ホームページ「むすびのけやき」
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/1014983/1015442/1015448/1015453/1015879.html

望月柚花
ライター・フォトグラファー
1993年生まれのライター兼フォトグラファー。高校中退から数年間のひきこもり、アルバイト、副業ライターを経て、2020年よりフリーランスライターとして活動。趣味は読書と散歩、深夜のラーメン。

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