厚切りジェイソン「諦めたら、残りの人生はつまらない」、55歳から「新しい人生」を始める方法

厚切りジェイソン 撮影/イシワタフミアキ

IT企業で仕事をするかたわらで始めた「お笑い」の世界でも人気を博し、芸歴が10年に突入した厚切りジェイソン。さらに、独自の節約術などお金に対する考え方が評判を呼び、2021年には書籍『ジェイソン流お金の増やし方』を発売。多方面に渡って活躍する彼の 「THE CHANGE」とは?【第2回/全2回】

僕は、自分なりの発想や意見をちゃんと説明できたり会話できたりして、コミュニケーションを取る能力が“人間力”につながっていくんだと思います。みんなと同じことを言っている人は“人間力がない”って烙印を押されるんじゃないかな。

それは日本でもアメリカでも同じ。つまり、大切なのは“オリジナリティ”ということじゃないですかね。だからといって、そのオリジナリティを高めるための“努力”をし続けても、それはいい結果に結びつかないと思う。

例えば、世間から見て、努力もしないで遊んでいるように見える人が結果として、オリジナリティとして面白いものが出てくる場合もあるから、そういう意味ではオリジナリティって、成果物だと思えるんだよね。

これからの夢ですか? ないです(笑)。現状ですごい満足。今収入が止まってしまっても、僕は構わない。例えば、僕が死んだ後で思い出してもらうということがなくても良いと思っているんです。自分と一緒に生きている家族に、生きているあいだに良い影響を与えるために毎日を大事にするだけなんです。そのために生きているんだと思いますね。

昔はもっと稼ぎたいとか出世したい、世界を変えたいって思っていた時期もあったけど、今はそんな考えはもうない。それは満足したから何もしなくなった、という意味ではないです。やりたい事をやり尽くした……というのとも、ちょっと違うかな。

古代中国の思想家・老子の言葉で「足るを知る」っていうのがあるでしょ。「何事に対しても“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かで幸せな気持ちで生きていけるという意味だけど、まさにそんな感じです。じゃあ、何のために生きているかと問われると、“都度都度の快楽のため”とでも言いましょうかね(笑)。

自由っていうのは一番のぜいたくかもしれない

僕の場合はやりたいことが出てきたら、その瞬間から目指すんです。そこがスタート地点になるんですね。それは自由だからこそ、すぐにできるということなんだと思います。そういう意味では自由っていうのは一番のぜいたくかもしれませんよね。

僕流の生き方でいえば、いつでもスモール・スタートでなんでもありなんです。ちょっと試しにやってみるぐらいが良いんです。芸人を始めたのも、まさにそう。

例えば55歳ぐらいであっても新しい趣味や新しいビジネス、新しい副業とかやりたければ、自分の今の空いている時間を使って、取りあえず、大金をかけることなく、リスク管理しながら、少しやってみようっていうのは相応しいやり方だと思うんですよね。無責任なやり方だと、次の挑戦ができなくなって今の人生が狂ってしまうことにつながるかもしれないから、そうならないように少しずつやってみる。それでうまくいきそうだったら、さらに力をかけてもいい……それは55歳になってもまだイケると思う。

そこで合わないなって思ったら、すぐに止める。ただ、それだけのこと。だって、人生100年時代って言われる今の世の中で55歳っていまだ人生の半分が残っていますよ。もう諦めたら、残りの人生はつまらないものになってしまう。それで良いんですか?

厚切りジェイソン(あつぎり・じぇいそん)
1986年アメリカ ミシガン州生まれ。17歳でミシガン州立大学に飛び級で入学。卒業後、イリノイ大学大学院に進み、修士課程を修了。現在もテラスカイグループの役員も務めており、そのかたわら挑戦したお笑いでも人気を博す。さらに、独自の節約術などお金に対する考え方が評判を呼ぶ。2021年11月に発売した『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)が電子書籍を含んで70万部を突破し、「第15回 オリコン上半期“本”ランキング 上半期BOOKランキング 2022」では堂々の1位を獲得する。その続刊『ジェイソン流お金の稼ぎ方』(同)も8万部超のヒット作となる。

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