台風ラッシュ 油断は禁物 過去には熱帯低気圧で大荒れの天気に【週末の天気詳報付き】

 

台風2号発生

 5月の最終週は台風ラッシュとなっています。台風1号は今月26日(日)にフィリピンで発生し、29日(水)に大東島地方に接近しました。大東島地方に5月に台風が接近するのは、2008年以来となります。

台風進路図 2024年5月31日(金)午後3時現在(ウェザーマップ)

 本日5月31日(金)午後3時に、南シナ海で台風2号が発生しました。台風2号は31日(金)午後3時現在、南シナ海にあって北へゆっくりと進んでいます。中心の気圧は988ヘクトパスカル、最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートルとなっています。暴風域は伴っていません。

5月31日(金)午後3時の衛星画像(ウェザーマップ)

 台風は今後、北上しながら6月1日(土)の午前3時には中国大陸の華南へ進み、同日の午後3時には華南で熱帯低気圧へと変わる見込みです。

 ただ、台風慣れしている沖縄でも油断は禁物です。過去には梅雨時期に台風から変わった熱帯低気圧で大荒れの天気となりました。

熱帯低気圧+梅雨前線で大雨も

 2017年6月13日から14日にかけて、沖縄地方は近海に停滞した梅雨前線や低気圧の影響で大気の状態が非常に不安定となりました。沖縄本島地方では、雷を伴い断続的に非常に激しい雨が降り、14日は名護市と東村で日降水量231.5ミリを観測するなど、6月としての極値を更新する記録的な大雨となった所がありました。土砂災害や崖崩れ、道路冠水、沖縄本島地方で停電などの被害が報告されています。

大雨によって土砂崩れが起きた国頭村宜名真の林道=2017年6月14日

 当時の天気図には、中国大陸に熱帯低気圧があって沖縄地方には梅雨前線がかかっていました。

2017年6月13日午後3時の実況天気図 ※ウェザーマップ

6月3日にかけて荒れた天気に警戒を

 6月1日(土)午後9時の予想天気図を見てみますと、中国大陸の華南に熱帯低気圧が予想されていて、沖縄の南海には梅雨前線が延びています。2017年の大雨の際の天気図と似ています。

2024年6月1日(土)午後9時の予想天気図

 6月3日(月)午前9時の雨と風の予想では、先島諸島の北の海上には低気圧性循環(渦)があって、東西には梅雨前線に伴う雨雲が延びています。沖縄地方は6月3日(月)にかけて雨や風が強まる恐れがあり、荒れた天気に警戒が必要です。

小満芒種(スーマンボースー)

 沖縄では梅雨の時期を独特の季語で表現しています。二十四節気の小満(5月20日ごろ)と芒種(6月5日ごろ)を合わせて、小満芒種(スーマンボースー)と言います。

 

 弊社(株式会社ウェザーマップ)には全国各地に気象予報士が124名所属(2024年5月現在)しているのですが、毎年この時期になると「きょうの放送の天気コーナーで“小満芒種(スーマンボースー)”を紹介したいのでネイティブな発音を知りたい」と問い合わせが来ます。

 その際には、リアルな沖縄事情も伝えるようにしています。今年の場合は、沖縄では昨年の秋から水不足が続いていて、連日、ダムの合計貯水率が報道され、雨が降るたびに貯水率の数字とにらめっこしながら梅雨期の雨を待ち望んでいたことなど。沖縄の気象を通して、多くの皆さんが沖縄全体へ興味・関心を持っていただければと思っています。

3日ごろからかなりの低温予想

 5月30日(木)に「低温に関する早期天候情報(沖縄地方)」が沖縄気象台から発表されました。沖縄地方は、この先冷たい空気の流れ込みによる影響で6月3日(月)ごろからはかなり気温が低くなる予想です。農作物の管理などにご注意ください。(かなりの低温の基準:5日間平均気温平年差-1.6℃以下)

 「低温に関する早期天候情報(沖縄地方)」が発表されるのは、2024年3月11日以来となります。

9日ごろまで平年を下回る見込み

 実際どの程度気温が低くなるのか見ていきましょう。6月16日(日)にかけての那覇の天気と気温の予想では、6月2日(日)の予想最低気温は20℃前後、予想最高気温は23℃くらいで3月中旬ごろの気温となりそうです。その先も6月9日(日)ごろにかけて平年の気温を下回る見込みです。

那覇の6月16日(日)にかけての天気と気温予想 ※5月31日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 天気は、6月5日(水)ごろには晴れ間があり、その後9日(日)にかけては概ね曇りですが一時的に晴れ間もありそうです。ただ、10日(月)以降は、梅雨前線や湿った空気の影響で雨が続くため、部屋の中の温度や湿度の管理を心がけるようにしましょう。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※5月31日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※5月31日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

3日にかけて雨強まる恐れ

 6月1日(土)の沖縄地方は、梅雨前線や前線に流れ込む湿った空気の影響で雨が続き、まとまった雨となる恐れがあります。1日(土)は沖縄本島地方、2日(日)は先島諸島でも雨が強まり、3日(月)は県内各地で雨が強まる恐れがあります。道路が冠水しやすい場所では車での通行をなるべく避けるなど注意が必要です。

6月3日(月)午前9時の雨と風の予想 ※5日31日(金)午前9時のデータ、ウェザーマップ

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。

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