中国名物「ゲート」チェンジ、オランダ「定刻前」発車にご用心【海外旅行は言葉ができなくても大丈夫か】(1)

中国の国内線の搭乗券。これは武漢発・上海浦東行き。提供/後藤健生

外国へ行くと楽しいのは、違う文化に触れられるからだ。その一つが、言語である。習得は必要不可欠ではないが、学べば旅が楽しくなることは確か。時には、旅行中に急激に上達することもある。蹴球放浪家・後藤健生にも、2005年のワールドユース取材時に、そうした経験がある。

■海外旅行で「言語能力」は必要なし

よく「言葉ができないから海外旅行は不安」という人がいます。

しかし、旅行をするのに普通は言語能力などほとんど必要ありません。荷物を持ってホテルに到着すれば「ああ、この人は泊まりに来たんだ」と思ってもらえますし、レストランに行けば、当然、食事に来たのだろうと思われます。

まったく知らない言語であっても、あとは文字や絵を書いたり、指を立てて数字を伝えたりすれば、なんとか会話は成立します。

しかも、こちらがお金を払う立場、あちらがお金をもらう立場なのですから、言葉などまったく不要です。

つまり、出発前に交通機関やホテルをちゃんと予約して、その通りに移動しているのなら、言語能力など、ほとんど必要ないというわけです。ましてや、最近は翻訳ソフトなども充実していますし、マップの機能を使えば道を尋ねる必要もなく、現地のバス路線なども簡単に検索できます。

もちろん、言葉をしゃべれたら、現地の人と情報交換をしたり、レストランの人にお薦めを聞いたりできるので、旅はずっと楽しくなるでしょうけど……。

■空の移動で「アクシデント」発生

ただし、予定外のことが起こったときには、やはり「言葉がしゃべれないと不便だな」と思うことはあります。

マレーシアから帰国便に乗ったら、なんでも扉に不具合があったとかで、インドネシア領カリマンタン島の空港に降りてしまったということがありました(そのときは、数時間後に不具合が直ったので、そのまま日本に帰って来ることができました)。

ボリビアの事実上の首都ラパスから、チリの首都サンティアゴ・デ・チレに向かっていたはずのルフトハンザ機が、霧のためにチリ最北部のアントファガスタに降りて1泊させられたこともありますし、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスからスペインのマドリードに向かう飛行機が故障して、ブエノスアイレスで1泊させられたこともあります。

中国の空港(とくに国内線)の名物がゲートチェンジ(搭乗口の変更)です。

指定された搭乗口の前で待っていると、突然、アナウンスがあって、「〇〇行き××航空▽▽便の搭乗口は□□番に変更になりました」と言われるのです。で、新しい搭乗口で待っていると、再び、◆◆番に変更」と言われることもあります(たいていは英語のアナウンスもありますが、稀に中国語だけということもあります)。

ですから、最後まで案内板にも、アナウンスにも気をつけていないといけません。

もっとも、現地の中国人旅行客も右往左往していますから、これは僕の聞き取り能力が悪いからではなく、空港のサービスの問題であることは間違いありません。ある意味、不安であれば周囲の乗客の様子を観察して入ればいいのかもしれません。

■定刻よりも「早く」列車が発車して

でも、飛行機の機内や空港なら、どこの国でも英語が通じますからなんとかなりますが、鉄道や長距離バスなどでは乗務員も現地語しか話せないことが多いですから、途中で事故などがあると、様子を聞けなくて困ってしまうこともあります(でも、まあ、たいてい、乗客の中に1人くらいは英語ができる人がいます)。

2005年にワールドユース選手権(現、U-20ワールドカップ)をやっていたオランダからコンフェデレーションズカップ開催中のドイツに列車で移動しようと思ってユトレヒトの駅まで行ったら、乗ろうと思っていた列車が発車した後だったという話は、「蹴球放浪記」でも書きました(第54回「さっすが、ドイツのアウトバーン」の巻)。

線路工事があって迂回路を走るため、いつもより早く発車したというのです。駅員は「そこに書いてあるだろ」と指さすのですが、注意書きはオランダ語でしか書いてありませんでした。

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