「最後だから、泣いている人が多かった」美容専門学校が閉校、授業料は返還されず“夢”はどうなる

メ~テレ(名古屋テレビ)

愛知県小牧市にある美容専門学校が保護者説明会で突然閉校を伝えて、まだ1カ月もたっていませんが、学費の大半が返還されないまま31日、閉校の日を迎えました。

最後の授業が終わる約30分前、愛知県小牧市の美容専門学校に、学生の保護者が訪れました。 「先生も生徒も捨てられたような感じで、まじか…みたいな。どこに行っても校長先生がつかまらないみたい。逃げているというか…いない」(愛知中央美容専門学校 保護者) 保護者たちは、連絡の取れなくなった校長に説明を求め、直接会いにきたのです。 保護者たちが驚いたのは、5月9日、急遽開催された保護者説明会での対応でした。

学生たちにとって閉校は、晴天の霹靂

「急なお話となってしまい、大変申し訳ございませんが、本校の閉校並びに今後の手続きについて説明したい。入学者数の減少、経費支出の影響で資金繰りが悪化し、6月以降の運営の目途が立たなくなりました」(学校側の説明 ※説明会の音声) 31日、閉校するのは、愛知中央美容専門学校。 美容師になる夢をかなえるため入学した学生たちにとって閉校は、晴天の霹靂でした。 「信じられなかった。『え…うそでしょ』みたいになって、驚くことしかできなかった」(愛知中央美容専門学校 2年生 Aさん) 学校によると、運営する組合に出資してきた企業2社が、去年8月と9月に経営破綻し、存続が困難な状態になったということです。 「なんだと思っているの?子どもたちの未来を。去年の8月の時点で倒産だったらもう今年受け入れたらだめじゃん。自分たちのことしか考えていない“計画倒産”です。今、何月だと思っているんですか。4月に入学したんですよ。今5月、1カ月で全員100万円払っている」(保護者 ※説明会の音声)

7万円しか返金されない見通し

4月入学したばかりの1年生11人は、入学金と授業料合わせて100万円、2年生15人は1年間の授業料、30万円から50万円を既に支払っています。 「私は、最後の授業料30万円だけは全部自分で払いました。バイト代で全部支払った。学校生活、小学校から全部合わせた上で最後の学費だったので、自分で払おうかなと決めたらこうなってしまってショックでした」(愛知中央美容専門学校 2年生 Aさん) 入学金や授業料の返金についても説明がありましたが―― 「返金っていくらですか?」(保護者 ※説明会の音声) 「おおよそ5万円ほど」(学校側 ※説明会の音声) 「何で全額返せないんですか?使ったからでしょう?」(保護者 ※説明会の音声) 代理人弁護士によりますと、7万円しか返金されない見通しだということです。 専門学校などが加盟する連合会によりますと、学校に通う26人の学生のうち、1人が就職のため退学したということです。 今回の事態を受けて、愛知や岐阜の専門学校など15校が学生の受け入れを表明しました。 22人は受け入れ先が決まっていますが中には、来年度1年生として再入学する学生もいます。

校長は、説明会以降、学校での姿が確認できず

31日、学校には名古屋市に本社があるヘア用品の会社の担当者が―― 「学生たちに少しでも力になれば。これからも美容の道でがんばってほしいなという気持ち」(ホーユー 糸岡悠さん) ヘアカラーで使う道具など26人分を渡したといいます。 「すごく喜んでもらえた」(糸岡さん) 一方、保護者は憤りを隠せません。 「警察などいろんな人に聞いても『お金取れない』と。計画的な倒産は法の壁に守られていて、弁護士に聞いて、誰に訴えたらいいんですか『訴える矛先がない』と言われる。どういうこと?って」(愛知中央美容専門学校 保護者) 保護者によりますと、校長は、5月9日の説明会以降、学校での姿が確認できず、職員が学生の進路の手続きなどを行っているといいます。

「最後だから、泣いている人が多かった」

閉校の日を迎えた31日、学生たちが持ち寄ったのは、スナック菓子やケーキなど。 シャンプーの実習をした後、友達と輪になって、ささやかなお別れ会を開きました。 先ほど、授業を終えた学生たちは―― 「みんな最後だから、泣いている人が多かった。わたし、やめちゃうので、みんなバラバラになるので、会えないねってみんな泣いていた」(愛知中央美容専門学校 学生) 国家試験まで一緒に頑張ろうと約束した仲間との突然の別れ。 一緒に卒業式を迎えられない複雑な思いを抱え、6月1日から別々の道で、美容師を目指していきます。

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